2012年11月29日


405 <七色仮面の告白日記>

お金再考察中

給料が出た。

前日に給与明細を社内ネットワーク上で確認でき、
かなりワクワクした気持ちになった。
銀行で記帳をし、
いざ引き落としてみると、普通にお金だった。
あのワクワク感は、一体なんだったんだろう。。

せっかく働いてお金を手にしたのだから、
少しは贅沢をしようかとゲイバーへ行った。
「あら、久しぶりじゃないの〜」と迎えられ、
一杯、また一杯と飲んだ。
あれこれ楽しく話し、会計をして外へ出ると、
これが私の贅沢なのかと、ほろ酔い気味に自身へ問うた。

私のこれまでの給与の位置づけは、
借金返済のウエイトが非常に大きかった。

借金の元凶は、一人暮らしを始めてすぐに起きた。
給与と生活費のシュミレーションが物の見事に外れてしまい、
足りないお金をカードで借りるクセをつけてしまったのだ。

実家へ戻るという選択が浮かんだときには、
すでに数十万の借金になっていて、
理由を問われるとそれに答えられなかったから、
帰るに帰れなかった。

とにかく派遣でもバイトでも食いつないで、
返済をすることがライフワークになるほどだった。
自分のキャリアとか生き方を考えるより、
いかに給料日を迎えるかが大事になっていった。

いつも返済のことが頭から離れず、
それは緊張しどうしということでもあった。
だから給与が振り込まれると返済できる安心を感じ、
切り詰めた暮らしの中、バーで飲むのが至福の時というは、
私なりの一時的な拠り所だった。

それが現実問題を解決するための拠り所ではなく、
単なる逃避から生まれた感情だなんて知る由もない。
返済という目的のために自分をごまかして働き、
その報酬に返済から得られる安堵を感じる。
これが人生脚本というもの。

給料が普通にお金なのは当たり前、
バーで飲んでも、会話は楽しいが至福とまではいかない。

お金との付き合いは、もうしばらくはお友達ということで。

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2012年11月20日


405 <七色仮面の告白日記>

街という巡りあわせ

今宵は私の都合により、男Nと曜日交代をさせていただきます。

今の勤務先は、
昨年の今頃に思いを寄せていたと、
たびたび待ち合わた街にあります。

当時のHは、会社から通達で、
業務で必要となる専門資格を取得するために学校へ通っていた。

午前に授業が終わるので、
私はHと待ち合わせのためにこの街へ来て、
昼ごはんを食べたり、
そこから彼の車で出かけたりした。

行列のできるハンバーグ屋があるというので、
お昼のピークを過ぎた頃にその店に入り、
列に並んでまで食べたいような味ではないと、
Hはブツブツ言っていた。

別の日、
Hが「郊外の紅葉を見に来行きましょう」と言い、
学校近くのビルの前で待ち合わせたことがあった。

彼は、家から車で来て学校近くに駐車していた。
待ち合わせ場所から駐車場へ向かう道すがら、
「クラスメイトに昼飲み会に誘われたけど、断った。」と言うので、
「それって今のタイミングで、しかもわざわざ私に言うことか」と
心の中で思ったけど、何も言い返せなかった。

そんな思いを抱えながら見た紅葉は、心ここにあらずだった。
それから一年経ち、Hとは紅葉を見た数か月後には縁がなくなり、
そして私は再就職をした。

東京には数多く会社があるのに、なんでまたこの街にあるのかと、
その巡りあわせに、「出てきやがったな」的な憎々しさを感じた。

何を隠そう半年通った事業所も、
Hと最初に会った日や、待ち合わせでよく訪れた街でした。
このときの方が、まだキュンとしていたかも。。

誰かを好きになり、その人との付き合いがダメになると、
ゆかりのある街や場所へは近づけなかった私。

そして今、
昼食を摂るために外へ出て、あのハンバーグ屋の前を通る。
駐車場の横も通る。

成長の証というと、周りは大袈裟に思うかもしれない。
でも、私はこれに苦しんでいたのも、私の中での事実だ。

不慣れな環境で緊張が続く中、
昼休みのわずかな時間に一年前の思い出に少し浸ることで、
自分を甦らせて午後の業務のチャージをする。

まさか一年後にこの街に来るとはと思いながら、
午後の業務に就くため、いそいそと往くのだ。

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2012年11月15日


405 <七色仮面の告白日記>

引越しから得たもの

先週末、私は約5年住んだアパートから引越しをした。

隣人とのトラブルに折り合いがつかずにいるところへ、
行政から家賃についてのお達しもあり、
やむなく引越しをすることとなったのだ。

「いいところが見つからない」を理由に、
前のアパートに住み続けることもできた。

住み続けるということは、隣人とのトラブルを抱え、
家賃を気にしながら暮らすことになる。

かたや引越しとなると、事業所に通いながら物件探しをし、
新しく勤めるタイミングからして、好ましい選択ではない。

どちらもストレスにさらされるなら、
長く続かないストレスを選びたかった。

それならば、引越しだ。
物件探しも決まれば終わり、
勤めに出る不安も一週間さえ経てばなんとなるし、
引越し手続きや作業も数日あれば済む。
それでいて、行政指導に応じられる。

そう決めて動いたとはいえ、
早くも手頃な物件が見つからずつまずき気味で、
並行して事業所の訓練や今の勤め先への心の揺れは起き、
半ばくたびれてしまった。

あれこれ動いて、
なんとか以前のアパートから近い今の住まいを見つけた。
手続きや申請のために区役所へ行き来しつつ、
その間に事業所から会社勤務に変えて、
先日の土日を利用して引越しを終えた。

少しでも気を緩めば「やっぱりできない」と、
感じることはわかっていた。
もしかしたらカラダに出てくるかもしれないと、
勘付いていた。

でも、そのことで自ら決めたことがダメになるのは
もうイヤなんだということもわかっていた。
そうならないためにも、あらゆる手段を尽くした。

ラケットと知りつつ業者へ難癖をつけたり、
事業所職員へ泣き言を言ったり。
はたまた、CSNのメンバーに話すことで急場をしのいだり、
引越し当日に両親を呼んで手伝ってもらいながら、
愚痴ってみたり。

自らが選択したことではあるけど、
実に多くの人の存在によって成し遂げられた。
今回だけでなく、今までの出来事ひとつひとつが
そうだったのかもしれない。
課題だったのは、
その選択の結末を私がどう捉えられているかだ。

長く続かないストレスとした引越しを終え、
今は徐々に落ち着きが出てきたように感じる。
私は自分で選択したことなら、
どんな結末でも背負えるのではないかと思った。

何より、やってよかったと少しでも思えれば、
私はそれでいいのだ。

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2012年11月08日


405 <七色仮面の告白日記>

はたらいくはどう?

入社してから、一週間が経った。

三日目に土日を挟んだこともあったせいか、
今のところ休むことなく通っていてる。

日曜にどんよりした気持ちに苛まれ、
水曜の朝はたくさん寝ても眠いという、
「あの」馴染んだ感情がおそってきた。

しかし通うことに対しては、なんとかなっている。
三日伝説は伝説になったのかな。

はてさて、
私の今回の就職は初めてのことが二つある。

ひとつめは、初めて障害者採用枠で入社したこと。
もうひとつは、10年以上ぶりに直接雇用の働き方であることだ。

私は長年、派遣社員で働いてきた。
派遣を選び続けたのは、働いた分給料がもらえ、
嫌なら辞めればいいという考えで、
特にキャリアをどうしようとか考えてもいなかった。

そんな軽い気持ちで働きはじめたのだが、
次第に派遣の利点だけを貪欲に求め、
その後障害がわかると途端に立ち行かなくなった。

これが直接雇用なら多少救いがあったのだろうけど、
派遣で働くというリスクを全く無視していたツケは、
非常に大きかった。

そして今回、障害者枠で直接雇用という立場になり、
遅まきながら「企業に属する」という意味合いを、
これから知っていくのだろうか。

契約と派遣社員とでは、保障面ではさほど変わらない。
今の時代契約社員待遇でも十分だろうし、
いつ契約解除になってもおかしくはない。

思うに、私は契約や派遣とはある意味
「大人の働き方」ではないかと。
対価分の仕事をし、契約が切れても生活をきっちりやっていけること。
もしかしたら分不相応な働き方を、私はしてきたのかも。

かつてのように経済が活性していない時代だけど、
せめて数年頑張れないだろうか。

しかし、企業勤めは疲れます。。。
私の抱えている認知も、出てきやすいです。
それは、追々。

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2012年11月01日


405 <七色仮面の告白日記>

5年ぶりの出勤

今日、障害者枠で採用された会社に初出社をした。

約5年ぶりになる「出勤」は、
事業所の出所と勝手が違うように思っていた。

通勤経路、下車駅、勤務先の雰囲気、人間関係。。
すべてをリセットしてのスタートは、ストレスの負荷が高い。

今までのケースだと、
ストレスフルの状態で出社をし、
初日の緊張でピークを迎えて、
無事帰ってくると一気に力が抜けてしまう。
それが次の日の朝までに回復しないものだから、
なんとなくエンジンがかからなくて行きたくなくなる。

心理的な面は別にあるのかもしれないが、
およそそんなところだ。

その緊張を軽減し、
一気に力を抜いても体力が温存できれば、
私は次の日も出社できる。
それを事業所の訓練で、やってきたのだ。
ならば、今回は実践としてどう立ち向かってみるか。

緊張の源は、対人関係にほかならない。

私はそれをできるだけ回避させるため、
入社一週間前に事前面談を申し出ていた。

実は採用決定から入社日まで一ヶ月近くあいだがあり、
その期間は入社手続き以外のやりとりがない。

なので取り立てて用件はないものの、
「不安」という気持ちを「入社前の打ち合わせ」と称して面談の希望をし、
少しでも会社の人に面識をもち、慣らそうとした。

この案自体も通るのか不安になったが、会社側は快く応じてくれ、
一時間半ほど今後の仕事等についてざっくばらんに話をした。

それから昨日まで事業所の訓練を続け、
今日は行き先が変わるイメージですんなり移行できるようにし、
「私なりの就労移行支援」を実施したのだ。

それでも前々日には夢を見てしまい、昨日は終日緊張と隣り合わせという、
まさにストレスフルの状態だった。

一般的に「就職するんだから、入社日まで休んじゃえ」と思うらしいが、
課題を抱えている身としては、かえって休みは仇になる。
気弱だからこそ、こうして足元を固めていくしかないのだ。

そうしてブログを書いている今、疲れはしたが余力は残っている。

就職だけが社会参加なわけではないが、
私は会社勤めをして仕事をすることが、自分にできることだと思う。

とはいっても、就職が厳しい時代に採用された意義は、
支援を受けてきた身としては大きいように感じる。
だからこそ少しずつ足慣らしをし、少しでも社会参加を続けていきたいのだ。

いつどうなるかはわからないが、
こういった日々がいつしか「やりたいことだった」となっているように。

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2012年10月25日


405 <七色仮面の告白日記>

通い続けて見えたもの

事業所への通所が、残り一週間を切った。

4月から通い始め、基礎訓練やグループ学習、個人課題をこなし、
来週からは数年ぶりに就職という意味での社会復帰となる。

わずか半年なのに二年近く在籍したような濃さがあり、
この間に様々な感情や思考との戦いがあった。

戦いといっても目に見える勝敗があるわけでもなく、
「とにかく通う」という行動のみだった。

私の行動は、何を原点にしたのか。

それは以前のワークでも話したが、
3.11で「いつでも今が続くことはない。やれることはやる。」という思いや、
昨年の今頃に恋をした相手に、正々堂々と振る舞えなかった思いがある。

しかしなんといっても、
CSNとの関わりに端を発していることを抜きにはできない。

特にドーナツ工房「縁」のへの関わりは、
私が体調を崩したということでリタイアし、
その後の過程を見るにつけ、私は脚本に浸かっていたのだ。

リタイアするのは簡単だ。
こころが擦り切れた糸なら、いっそプツリと切ればいい。

しかし皮肉なことに、
そのように切った糸は絡み合ってほどけなくなり、
かえってどうにもできなくなってしまう。
そして自分で切ったということに、苦痛が伴うことも。

確かに疲れはあったかもしれないが、
そこで関わりを断ってしまった私が許せなかった。くやしかった。

何かをやりたいにしても、
そんな中途半端なことを繰り返していては、
いつもこころはほどけないままだし、
切ることをするからいつまでもたっても紡いでいかない。

糸を切ってしまう前に切りたくなるのを抑える力を、
糸が擦り切れそうなら何重にも巻き直して補修するという術を、
自分なりに身に着けたい。

そして踏み込んだのは、事業所だった。

なにがなんでも通う。
紡がない自分、切ってしまう自分を知るからこそ、
私には通うしかなかった。
その繰り返しこそ、いつしか術になり力となったのだ。
まさしく、四十にして立つそのもののようです。

事業所を卒業できたのは自分の力でもあるが、
それを支えていた職員や訓練生の存在を、私は忘れたくない。

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2012年10月18日


405 <七色仮面の告白日記>

チャンレジ雇用

昨日、事業所の同期がチャレンジ雇用という制度を利用し、
施設を一時卒業した。

チャンレジ雇用は最長3年、
国や各自治体の機関で非常勤職員として働くことができる。
対象は主として知的か精神障害者で、
雇用期間に職場に適応する職務能力身に着けたら契約を終了し、
のちにハローワークが民間企業などへ就職先を斡旋する仕組みだ。

この制度は対象者であればだれもが利用できるのだが、
やはり採用には一定のラインを設けているようで、
同期の彼は精神障害者枠で幾度の面接や実技を経て、
ある自治体へ配属が決まった。

その同期の成長ぶりは、目を見張るものがあった。

入所当初は誰とも話さず、
訓練のやりとり以外で話をしたのは、
二週間経ってからと記憶している。

のちに何度か昼食を一緒にしたこともあったが、
昼食は一人になりたいというほど、
つねに緊張が解けないでいたようだった。

くわしい障害内容は聞いていないし、
症状もどういうものか話したことはなかった。

見ている限りではいつも汗をかき、
言葉の抑揚も単調で、
小休憩には伏せていることも多かった。

でも休まずに訓練に来て、
少しずつ周りと打ち解けるようになり、
そしてグループ学習では自らリーダーに立候補した。

グループ学習の成功はその後の訓練にも励みになったようで、
そして今回のチャレンジ雇用にエントリーをし、
見事に採用を勝ち取ったのだ。

ゆくゆくは民間勤務か、もしくは公務員になるかもしれない。
これからの時代、そのような勤め方どころか
勤務先すら見つけるのか難しくなると言われている。

例え企業に属しようとしまいと、経済がどうのこうのの前に、
できる範囲のことを精一杯やって「働いている」という実感を得てこそ、
障害とともに歩んでいける力になると私は思う。
ひょっとしたら、当事者はそこまで考えていないかもしれない。
ひたすらに、訓練や就職ということに純粋なのだ。

そんな私も就職先が決まり、事業所の通所は今月いっぱいだ。
私には就労の課題があった。
同期をこのような思いで見送ったのも、どこかで私をかぶせているのだろう。

「405さん、ネクタイはどんなのがいいでしょうか」と、
聞きに来るほどになった同期は、頼もしさに溢れていた。

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