2013年04月25日


405 <七色仮面の告白日記>

覗かれテーマ

今住んでいる隣のマンションで、大規模な外装工事が行われている。

事前に「近隣のみなさまへ」という告知文が投函され、
そこには作業中の騒音、異臭への侘びと協力、
工事期間が今年1月末から5月末までと書かれていた。

工事開始当初は離職からまもなく、
日中は家に居ることが多くなっていたので、
作業中の音やにおいに付き合うと思うとげんなりした。

そのげんなり感はせっかく家に居ても落ち着かないのもあるが、
覗かれているような気がしてならない思いが強い。
それも見られるではなくて、覗かれるという感じなのだ。

こうして期日を迎えると、現場には足場を組む鉄筋が積まれた。
それを一週間もしないうちに10数階まで組み立てられ、
外幕が取り付けられた。
その後本格的な作業が始まり、多くの職人が足場を伝って仕事をしていた。

その様子は部屋のレースのカーテン越しから見えるのだが、
日が経つにつれ、げんなりしているよりも感心することが多くなった。

それは足場の頑丈さや、手際のよさだ。
今年の春は風雨の強い日が多かったのに、
足場はその程度で崩れたりはしない緻密な計算の上で組まれている。
そして職人達は一人の割り当て箇所を手際よくこなし、
毎日見ていたわけではないけど事故を起こさず着々と進めている。

そう、覗いている暇なんて職人にはないのだ。
そんなことをしていたら事故、大惨事につながりかねない。
すべては、安全に業務をこなすことが彼らの仕事なのだ。

ばかばかしい、私の部屋なら堂々と居ればいいのにと思いながらも、
カラダがムズムズして落ち着かなくなるからやっかいなものだ。

工事は予定よりも早く終わるようで、今週足場が取り外された。
やれやれというのも本音なら、
思いがけないところで私の価値観がうごめいたのも事実だ。

覗くなら覗けとか覗かれても平気というより、
見るなら見ろとか見られても平気くらいにはオープンになりたい。

これが現状、私の詰まるところのような気がします。

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2013年04月18日


405 <七色仮面の告白日記>

パターン

ゲイといえども、女性に魅力を感じるときがある。

最近で印象深いのは、太地喜和子だ。
というのも、検索ワードで彼女の名前が急に上がってきたからだ。

1992年に事故死してしまった、伝説の女優と言われている。
名前は知っていたものの、リアルタイムで見た記憶はない。
しかし先日亡くなった三國連太郎によって、
かつての恋愛沙汰を取り上げることが多くなっているようだ。

その三國連太郎の述懐で、
「太地さんは魅力的な優しい人でした。
 これは異常ともいえるほど博愛精神をお持ちの方で、どこにも行かず、
 他のことは何もしないで、ひたすら私だけを待ち続けてくれる風情なのです。
 ただ、一抹の恐怖を感じさせる生き方に近いものが伺えました。
 ああ、この人は自己破滅していく人だな、
 自分自身が崩壊する道をあえて選んでるんだなと、
 私自身を棚に上げて感じました。
 その破滅への道に私も身をゆだねて、彼女と心中する覚悟にはなれませんでした。」

似たもの同士か依存関係かはともかく、
恋愛関係でありながら最後の最後でヒラリと男がかわすという例ですね。

そこで太地喜和子の画像を検索すると、うん十年前の彼女がずらり。
私からすると正統派美人とかキレイいう枠ではない。
息がつまるような色気の人だ。
それもジメっと湿った感じがするもの。

でも三國は破局の理由については
「あなた(太地)の体にひれ伏すことがイヤだった……そういうことです。」

この明け透けな理由ときたら。。

太地は三國との恋が終わると名だたる俳優と浮名を流し、
自由奔放に生きた様子が書かれているがどれも激しい逸話ばかり。
どんなに良好な恋愛関係であっても、それを崩さずにはいられないのだろう。

自由奔放という言葉に置き換えられた恋愛ショッピングだと考えはするが、
やはり自由に生きたにも関わらず自己破滅的だという点に魅了されます。
いかにも私が食い入るパターンなんだよね。

彼女の出演作を1、2本観たいところだ。

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2013年04月11日


405 <七色仮面の告白日記>

周囲基準

地下鉄に乗ったときの出来事。

やってきた電車は空いていて、
私は景色見たさに先頭車両の運転席に通じるガラス扉越しに立った。

一駅過ぎたところで、ほんわかした中年らしき男性が乗ってきた。
「この電車に乗れば、待ち合わせ時間に間に合うな」
その男性はいかにも周りに聞こえる独り言を発した。

なにかある人かなと私は思い、電車は走り出した。
地下をすすむ車内のドアガラスには私と男性が並んで映り、
いつしか男性も電車が進む景色を見て声をあげていた。

「あ、ここから外が見えるんだ」
「あの電車は速いなぁ」

鬱陶しい気分になった。
静かに景色を見たい、独り占めできないじゃないか。
同時に、子どもじみた意地悪な気持ちを持つ私に苛立った。

そんな気持ちを抱えながら、電車は終着駅に近づいた。
線路はうねうねとしたポイントがあり、
トンネル内にはいくつもの信号機が点灯していた。

するとその男性は、
「うわぁ、きれいだなぁ。宝石みたいだ。」

ドキッとした。
ブルー、イエロー、レッドと信号機の基本色が、
暗闇で散らばるように点灯、点滅していた。
うん、きれいだ。

駅に着いてドアが開くと「景色がみれてよかった」と、
男性は足早に降りていった。

電車内で独り言を言っていると、独特の雰囲気になる。
それはマナーや公然という名の下で、見るほうは奇異に見てしまう。
じゃあそれができるのかといえば、恥ずかしい、言うのが怖いを言い訳にやらない。
なのに電車内での独り言が増えていけば、それが平気でいられる。

いかに周囲基準で自身の感情や感覚が作られているのか、気づかされるひと時だった。

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2013年04月04日


405 <七色仮面の告白日記>

開業医の信念

先月から歯の治療のため、個人歯科医院へ通っている。

区内に歯科医院は数多くあるが、
私に様々な条件がありながらも診察を受け付けてくれる、
とてもありがたい歯科なのだ。

そしてここの先生の外見は難物そうなのに話し好きな一面があり、
今まで抱いていた歯科と違って通いやすいのが利点だ。

先日は前回の治療で歯神経を抜いたあとの薬剤の効き方と、
削り取った歯の整形が治療だと言った。
そうしてシートが倒れ口を開けると、先生からこんな発言が。

「歯医者というのは歯を削るだけで、歯を元通りにはできない。
痛みを取り除き詰め物をしても、それは本来ある歯の復元とは違う。
それを治療したと喜んでいる医者もいるが、治療と呼ぶには無力すぎる。」

テープレコーダーに吹き込んだわけではないが、
およそこのようなことを言った。

「そんなことありません」と答えるには違うし、
かといって「歯の痛みさえなければいいです」と言うのも野暮な気がして、
私はあんぐり口を開いているのをいいことに黙って聞いていた。

私は元には戻せなくても痛みの緩和だけで、
十分に治療の役割は果たしていると考える。
しかしその先生には独自の診療哲学か倫理があるようだ。

ただ次の予約をとる際に開院時間の予定表をみると、
毎週のように高齢者や障害者宅への往診と書かれているのを見ると、
先生のスタンスらしきものがうかがえる。

発言の真相はわからないものの開業医でやっている限り、
きっとどっしりとした信念がある診察をしているのだろう。

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2013年03月28日


405 <七色仮面の告白日記>

駆け足サクラ

今年のサクラは早咲きでしたね。

私にとって、サクラのピークは4月の入学式あたりだと思っています。
しかし今年は3月のうちに満開となり、
サクラが駆け足でやって来たことに春の訪れを楽しむ余裕もなく、
せかされているような気持ちでいました。

ということで今年も地元でサクラを見ようかと考えていたところ、
めずらしくゲイの知人からお誘いを受けた。

「どうせアンタヒマでしょ?」と、ゲイバーのママKさん。
冗談口調でも気乗りしないのはサクラが駆け足すぎるからか。
しかし断る文句も思いつかず、とりあえず約束をした。

場所は浅草。
天気予報では曇りか雨だったせいか、ごったがえすほどの混雑ではなかった。
時間通りに行くと、主催者プラス3人と合流した。

そのうち2人は朝まで飲んでいたようで、
迎え酒でビールを飲みたいとか、あの人力車の男に乗っけてもらいたいだの、
昼間だというのにゲイバー並みのトーク炸裂。
ああだこうだ言いながら、30分ほど浅草界隈を歩いた。

そうこうしてやってきたのは隅田公園。
対岸には咲き誇っているサクラの木々と、昨年オープンしたスカイツリー。
思っていた以上に見事な咲っぷりで、
サクラピンクは周囲のうす曇の景色をほのかに照らしているようだった。

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そしてKさんの案内に従い言問橋を渡り、墨田区主催の花見会場へ到着。

この会場には屋台が二つと地面に座るテーブルが30席ほど設けられており、
エリア内では美空ひばりの歌謡曲が延々と流れ、
いかにも手作り感のあるレトロな雰囲気だ。
そこへ地元支援センターの見回りもあって、
「あんま飲み過ぎないようにねー」なんて声も。

屋台をのぞいてみると、威勢のいい高齢のメンバー達。
「ビールはそんな本数じゃ足りないだろ、にぃちゃん」
「日本酒なら熱燗がいいよ」
「このお新香は手作りだからうまいんだぞー」と、
品を買う渡すだけでなくちょっとした一言が楽しくなるやりとりで、
これも下町という場所柄が醸す開放感なんだろう。

傍からみれば40過ぎのオヤジの集団なのに、
交わす言葉は「ちょっとなんなのよー」とオバサン。
こういうゲイの集まりでは気取って飲むくせがあったけど、
今回はとてもリラックスして居られた。
そう感じるのはこの開放感あってこそ。

ワンカップ片手にちょうど飲み口にサクラの花びらが舞い落ちたのを見て、
駆け足だろうが遅かろうがサクラはサクラ。
サクラにもその時折によってペースがあるんだよみたいな気持ちになり、
それを私になぞらえた。
どんなに外面を気取っても、散るときは散る。
その散ったサクラにも、魅力があるんだゾ。

さて、来年はどこでどんな様子でサクラを眺めるのだろう。

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2013年03月21日


405 <七色仮面の告白日記>

複雑になるコミュニケーション

いまだ、先々月退職した会社とのやりとりが続いている。

先週、その会社から郵便文書が届いた。
タイトルには、給与未控除分清算のお願いと書かれている。
会社のしくみか手続き上の問題か、
1月に退職したにも関わらず、就業していない2月分の給与の振り込みがあったからだ。

いくら会社都合とはいえ、働いていないのに給与を受取る道理はない。
退職時の書類に未清算分の返金を行う誓約書というものもあったし、
いずれその通知が届いて返金しなくてはならないだろうと思っていた。
でもこんな時期になるとは。

だがその返金額が、2月に振り込まれた額よりも高いのに、
その説明が文書には一切書かれていない。

そのことを確かめるために、給与部門へ問い合わせる必要がある。
この給与部門はアジアのある国へアウトソーサーしており、
ダイヤルは日本人専用となっているものの、現地の人が対応をする。

これまでも源泉徴収や通勤交通費について電話をしているのだが、
主観として日本語が6割程度しか通じず、
ちょっとしたニュアンスでも相手は理解を示さないことがあり、
そのことから私はこの部門への電話に苦手意識を持っている。

今回もどのように伝えればよいのだろうかと、
疑問点をピンポイントかつシンプルにし、できるだけ言葉をしぼって伝えた。
それでも日本語の通じにくさのストレスからか、イライラしてくるのだ。

苦手、イライラはラケット感情だとわかっているが、
ここをおざなりすると、私が納得できないままで不満が残る。

それをこらえながらもなんとか主訴は伝わったようで、
結局雇用区分により確認できる給与管理画面が違うということで、返答待ちとなった。
そして、この振込の件をケースワーカーに資料をもって説明に行く。
あぁ、わずらわしい。。

私の説明の仕方や理解度、それに対する姿勢に問題があるのはわかる。
しかし日本の給与や税金体制に熟知していない海外のオペレーターが対応しても、
国によって事情は異なり広範囲の知識が求められるのなら、
ある国で一括して対応するのはいかがなものだろうか。

源泉徴収制度がある国ない国では、それが何を指すのか互いの認識がズレていては、
何について問い合わせ、相手もどう回答してよいかわからないだろう。
「地震・雷・火事・おやじ」のたとえを、英語で直訳してしまうようなものだ。

将来、今まで以上に海外の労働力が日本へ流れこんだり、
事務的な部門を海外へアウトソーサーする時代が来ると、
今回のこのような事態は日常的になるのか。
ただでさえ、日本人同士のコミュニケーションでも悩むところなのに。

やること、調べることをひとつひとつ片付けて、
このやりとりを早く収束させたいものだ。

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2013年03月14日


405 <七色仮面の告白日記>

東横線渋谷駅よ!

3月16日、東急東横線は渋谷駅〜代官山駅間の地下化に伴い、
現地上の渋谷駅での営業が明日15日の最終電車をもって終了となります。

昨年の夏頃に具体的な地下化日程がわかり、
たまたまCSNのワークでその話題に触れることもあり、
私は残りわずかな東横線渋谷駅へ出向きました。

沿線住民ではない私にとって、
特別な用事や仕事のときに利用してきたこの渋谷駅には、
数々の思い出があります。

幼い頃、父方の叔母夫婦が住んでいた元住吉へ泊まりに行ったり、
その当時まだ遊園地があった多摩川園へ遊びに行ったり、
叔母夫婦が横浜へ転居すると菊名まで乗るようになった。

自我に目覚めるとデートで自由が丘や横浜へ行ったり、
待ち合わせに学芸大学駅ホームを使ったりもした。

直近では、CSNの事業だったドーナツ店「縁」があった白楽へ、
数ヶ月間通ったりもしました。

その目的地の起点がこの渋谷駅で、
改札を通過した分だけの楽しかった、苦しかった、うれしかった思い出が、
詰まっているような感じがするのです。

東横線渋谷駅は、正面改札口から一度に4列車見渡せる構造です。
先頭車両は改札に向けて停車するので、まるで出迎えてくれてるように見え、
「お出かけする」というちょっとした旅情感があります。

ほかにも似たような構造の駅はありますが、東横線渋谷駅には圧迫感がありません。
それは複数のドーム状の高い屋根と、ホームから外へ吹き抜ける空間があり、
これが数あるターミナル駅の中でも特徴的で、垢抜けた印象を与えてくれるのです。

沿線住民なら、見慣れた駅と思うのかもしれません。
でも私には時々東横線沿線へ出かけ、渋谷駅を利用することが多かったことや、
渋谷駅独特の雰囲気に魅了されているからこそ思い入れるのです。

そしてこの光景が二度と見られないとなると、
思い出がプツリと切れてしまうような気さえするのです。

そんな名残惜しさから渋谷駅の様子を見てきたのですが、
ネットのニュースでも取り上げられていたとおり、
駅構内のあちこちで携帯やデジカメで最後の様子を収める人が多くいました。

ホームの垂れ幕には「85年間ありがとう」と、
まるで有名人の引退コンサートか試合のような雰囲気さえ感じられます。
それは東急ブランドの功績もさることながら、
それだけのファンがいて、積み重ねてきた年数分の風格です。

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地上駅はしばらくはイベントスペースとして残すものの、
数年後には取り壊されて再開発されるそうです。

その完成予想図は、東横線跡地に新たに高層ビルを立て、
さらには渋谷に乗り入れてる各路線の移設などをし、
渋谷駅周辺の狭い窪地を有効利用する計画だそうだ。
どう見ても狭い空間に高層ビルだらけで、圧迫感がありそうです。

今の渋谷駅の構造は継ぎ足し増築をしてきたため、
バリアフリーの観点からも確かに使いにくさは否めない。
新しい東横線の渋谷駅は地下5階に移るが、
地下から地上への移動は、地上での移動よりも困難ではないだろうか。
それだけでなくやはり建造物としての価値や、
地下化は本当に必要なのかと地上駅廃止について論議が交わされているようだが、
もう変わることはないですね。

あるもので改善するとか維持していこうというより、
新たに造ってしまってから考えるのは、あらゆることで日本式なんだと。
こうして思い出も変わってゆくのかな。

ラストランの渋谷駅は、多くのファンで賑わうだろう。

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(副都心 夕日を浴びて カンチ坂)

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