2012年03月29日


405 <七色仮面の告白日記>

操れ、ドライバー

先立って、私が幼い時に両親が住み込みで働いていた先の奥さんが、
現在一人で営んでいる小料理店の接客中に、熱湯を被る事故がありました。
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たまたま、母が奥さんへ最近の様子伺いの電話をしてわかり、
この時点で事故を起こしてからすでに一か月が過ぎており、
入院には至らずとも下半身に大やけどを負ってしまったのです。

日中の動きがかなり制限されている状態だったというのだが、
それでも店を開けて営業しているとのことなので、
見舞いがてら奥さんの店へ家族三人で出向きました。

店の開店時間を見計って行くと、奥さんは片足を引きずってはいたが、
いつものように「あらぁ」と出迎えてくれた。
挨拶をそこそこに症状を聞き、包帯巻きしてある患部を見ると、
素人目にも肌表面はかなり改善されてきたようであったが、
それがかえってやけどのひどさをうかがえるようでした。

しかも、包帯で固定巻きにしていたときはお湯でカラダを拭いたらしく、
これが風邪のもととなりぜんそくを引き起こしてしまったり、
やけどをした足が利き足のため、それをかばうように歩いたら
横転してしまったこともあったとかで、
事故以降の一か月は踏んだり蹴ったりな目に遭ったみたいだ。

それにも増して私が驚いたのは、
やけどをした次の日には店を開けていたというのです。

それだけではない。
店の食材を買うためにいつも自転車で行く商店街まで歩いていき、
それを届けてもらうようにしてきたり、
休みの日は、奥さんのお兄さんにあたる方を見舞うために出かけたり、
常連客が東京マラソンに参加するというので応援へ行ったりと、
まるでいつもの出来事のように淡々と語った。

どうやら制限というのは私のイメージと異なり、
奥さんの中では風呂と自転車での買い出しくらいみたいだ。

この奥さんには、並々ならないパワーがある。
プライベートで様々な困難に遭った末に、一人で店を開いて切り盛りをし、
数十年の間はほとんど休むことなく、店を開けてお客さんをもてなし続けた。

その地道な運営と人柄で常連客がついてきて、
私も名前は知らないが顔は知ってるという人が数人いる。
やけどをしたときも常連客の協力があって初期治療が功を奏したというし、
通院の際も営業途中で寄ったお客が車で病院まで連れて行ってくれたりと、
ひとえに奥さんの人柄あってのエピソードだろう。

そして私より年上の三人姉弟がいる母でもあり、
うち二人の子ども(奥さんの孫)がやれ入学だ、やれ留学だと面倒を見、
下の息子とは近隣で暮らしているがその世話もし、
とにかく奥さん自身がやけどやぜんそくでありながらも、
店の営業のため、ひいきにしてくれる常連客のため、身内のためと、
それを当たり前のようにこなすところに、奥さんのパワーを感じるところだ。

やけどの症状回復のために静養を勧められたそうだが、
「家でじっとしていると気が滅入りそう」とポツリ言った。
これまでの背景を少なからず知っている私には、非常に重みがあった。
たぶん、そうなんだと思う。

そして私は、こう思った。
たとえどんなに痛くて不自由でもどうにか動けるのなら、
自身の店を開いていこうという信念。
それは治療という理由で立ち止まってしまうと、
かえって自身の精神が損なわれると知っているから、
ケガをおしてでも店を営業したい気持ちの現れなのだろう。
きっと奥さんだけでなく一人で看板を背負う仕事の人には、
似たような精神をもっているのではないだろうかと。

以前、「交流分析のドライバーも使い方次第」と話したことがあったが、
私は奥さんの姿を見てそんな気がした。
場合にもよるが、自分で引き受けられる心構えと判断があるのなら、
仮にドライバーによって動いたとしてもそれはそれでいいように思う。

肉親であるかどうかの違いはあるものの、
片足を引きずりながらもカウンター内を動くさまは、とてもかっこよかった。
しばらくして、私たちのあとに常連客がゾロゾロやってきて、カウンターは満席になった。

幸いにも、奥さんのやけどの後遺症は少なく済みそうです。

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2012年03月22日


405 <七色仮面の告白日記>

親子丼

お昼過ぎ、出先でお腹が空いた。
この日は朝に情報番組で親子丼を見たせいか、
無性に「なか卯の親子丼」が食べたくなった。

私は一人で外出することが多いので、
もっぱら500円ワンコイン以内で済ませられる店に入ります。

そうなると大体チェーン店に限られてきて、
吉野家、すき家、なか卵、C&Cカレー、小諸そば、
最近では東京チカラめしがお気に入りかな。
ただ、メニュー豊富な松屋は苦手です。

これらの店は、地元や慣れてる街ならどこにどの店があるとわかるから、
例えばすき家ならあそこに店があると、比較的思いつきます。
しかしテリトリー外の街になると、まったく見当がつきません。
それも今回のように「なか卯の親子丼」と店指定のときは、
思考が凝り固まっているせいか、かえって見つけにくいものです。
都心部なら大抵見つかりそうなものなのに。

そんなに親子丼を食べたいのなら蕎麦屋とか適当な店へ入ればいいのに、
一人のお昼にワンコイン以上は出したくない条件が勝るのです。

ともあれ、親子丼といえばなか卯が手軽だし、
材料も鶏肉と玉ねぎ、濃いめ卵というもっともポピュラーだし、
ワンコインでここまで食べられればいいほうだと私は思っています。

そうして、そのなか卯を見つけるべく簡素なビジネス街を歩いた。
しかし、見つけられない。。

そんなときに「そば&丼」ののぼりが見えた。
近くへ寄ると、チェーン店ではないけど高速道路のパーキングにありそうな
蕎麦がメインの食券方式の食堂だった。

表のメニューを見ると「親子丼」の文字。
値段もワンコインを数十円上回るけどお腹も減ったことだし、
たまには通りがかりの店もいいかと思い中に入り、
そばと親子丼のセットの食券を買った。

出てきた料理をトレーに乗せて窓際に座り、まずはそばをすする。
そして親子丼を目にすると、???

イメージしている親子丼とは違って、表面がのっぺりしている。
なんだろうと思ってよく見ると、線状のものがチラホラ。
きっと鶏肉をほぐしているだなと思って一口食べると、
ガーーーーン!!
それはカマボコでした。。。

もうガッカリ。
刻みカマボコを卵でとじる料理もあるんでしょうけど、これは親子丼なのか??
必ずしも親子丼は鶏肉を使うに決まってるというのは、私の固定概念なのか??
そんな押し問答を心の中でブツブツと唱え、結局は
「親子丼といったら相場は鶏肉と決まってるでしょうがぁ!!!」が心の叫びで、
そして得も言われぬ親子丼をモソモソ食いました。

食べ物の恨みはおそろしいと言いますが、
予想に反する料理が出てきたときのガッカリ感は、恨みにもなりません。
親子丼は鶏肉を使うものだとと思い込んでいると、
こういうときに「めずらしいねぇ」と楽しむ気持ちにすらならないんですね。

やっぱりなか卯がいいと思うのか、それともこういう店もあるんだと思うのか。
親子丼ひとつとっても、私の思考が問われているようです。

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2012年03月15日


405 <七色仮面の告白日記>

憧れはしば漬けと共に

「はぁ、しば漬け食べたい」

先週、このフレーズのCMでブレイクしたタレントの山口美江が亡くなった。
実は私、彼女の大ファンなんです。

平安絵巻に出てきそうな顔立ちときれいなロングヘア、
バイリンガルっぽい話し方に好き嫌いがはっきりした言動、
バブル期を駆け抜けた華々しい経歴は、
バラエティや報道番組で彼女を見ては溜め息まじりに、
「きれい」「彼女のようになりたいな」と、
他の好きな女優とはまた違った想いでいました。

芸能界引退後はパタッと見る機会が減りはしたものの、
それでも一世風靡したタレントだけあって、
しばらくしてから彼女が横浜でお店を開いていると情報があり、
「完全不定休・気まぐれ運営」の触れ込みにも関わらず、
当時付き合っていたPと共に現地へ出向いたのです。

不定休を免れたのか店はこじんまりとやっていて、
私はこの目で彼女を見ることができたのです!

キレイな方でした。。
深緑のアオザイ風なワンピースに、髪をひとつ団子のように後ろでまとめて、
とてもエキゾチックな出で立ちだったと記憶しています。

私はダメ元で「ファンなんですよ」と伝え、
サインをお願いしたところ快く承諾してくれ、
私は急いでサイン台帳を買うべく文房具屋を探し、
再び店に戻り、サインを書いてもらったのです。

もううれしくてうれしくて、私は汚さないようサインをセロファンに入れ、
大事にしまいました。

Pはそんな私の様子を見て、
「めずらしいよね、ゲイなのにここまでファンなんて」と言ってました。
たぶんゲイだからというより、
山口美江のファンだというのがめずらしいのだと思う。

性の対象として考えにくいのはそうなんだけど、
私が彼女のようになりたいと思ったのは経歴だけでなく、
「キツイ性格」「言いたい放題」な立ち振る舞いがスカッとしていて、
世間の評判にも屈せず堂々としているのかと思えば、
過度な潔癖症や自称ファザコンというカタチで現れるあたりが、
見た目のキレイさと妙にフィットしていて、
本音発言が苦手な私には憧れだったんです。

ファン心理が加担しているからか、
あばたもえくぼとして捉えてしまうのかな。

そんな彼女を最後に見たのは、ある通販番組でした。
声こそは昔のままで機転の利くトークは変わらずでしたが、
容貌は年齢によってかわっていったとはいえない、
明らかに病的なやせ方をしていたので、とても驚きました。

それでも直近のインタビューで、

―どんな男性がお好きですか?
芸能人なら故・児玉清さん。ああいう知的で落ち着いていて、品がある人。
悪いけど、最近よくTVに出ている女子供みたいな人のよさがわからない。

―じゃあ、なよなよしている人は嫌い?
面白くない人が嫌い(笑)。楽しんごとか。

…あれれ、言っちゃうんだ(苦笑)

訃報が流れたその日、
なんとまぁ元彼Pから「山口美江が亡くなったよ」と、
速報ニュース並みのメールを送ってくれ、
私はすぐさまテレビをつけるとワイドショーで流れていました。

かなりショックでした。
身内でも知人でもないただのファンでありながら、
彼女のようになりたいと思っていたあの頃の私が無くなったような気がして、
またメソメソしました。

彼女は、いわゆる孤独死の状態で発見された。
あるコメンテーターが「山口さんは確かに一人でいるときに死んでしまったが、
だからといって孤独死と言えるのか。彼女は一人で居たくて一人で往ったのでは。」
というコメントが、私が彼女に対するイメージと合っていたし、
不謹慎を承知で、最期までスカッとして彼女らしいような気もした。

そして思い出したようにサインを探すと、日付は「2002.4.27」と書いてある。
10年前のサイン。
山口美江はそんなことを知らないように、私のかつての憧れと共に消えていった。

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2012年03月08日


405 <七色仮面の告白日記>

私の3.11

あの日、私はスポーツセンターに居た。

マシンを終えて立ち上がるとめまいがして、
「あ、やりすぎたかな」と思ったのも束の間、
にわかに周りが「地震だ」と騒ぎ始めた。

マシンや器材がカタカタと揺れ、
めまいのような揺れは平衡感覚を失うようで、
なんだかフワっとしていた。

館内に緊急放送が流れ、皆が一様に避難したものの、
肌寒い館外にトレーニングウェアで佇むのは風邪をひきそうで、
スタッフの方達は皆にタオルを配った。

20分後、この日の営業は中止と決まり、
早急に着替えて退館するよう指示が出て、
私はこの地震の規模を知らずにぼやきながら出た。

帰り道、最寄駅から電車に乗ろうとしたが、全線ストップ。
仕方なく歩き始めると何度か余震に遭い、
高層ビルや電柱がウネウネしているさまや、
道往く人のざわめきかたが異常に感じ、
「もしかしたらこれは地球滅亡か」と思ったくらいだ。

これはただの地震じゃないと気づいたのは、
帰り道に通った新宿駅アルタ前の人だかりを見たときだ。
ゲリラライブや休日でも見たことがないほどの人の波は、
携帯で連絡を取り合う人、人ごみをかき分け歩く人、
アルタビジョンの画面をじっと眺める人でごった返していて、
その大型画面から流れ出るニュース速報では、
津波警報が発令されていた。

私はこの人ごみとニュース速報でいよいよ不安感が増し、
とにかく家へ向かって歩いた。
メイン街道はいつもより歩いている人が目立ち、
車の往来はあるもののバスは運行停止のようだった。
そして区内へ入り、異様な光景と長時間の歩きとトレーニング疲れで、
一旦コーヒーショップへ入った。
今思うと、私も呑気にコーヒーなんて飲めたものだ。

一安心して席に座るとまたもや余震があり、
心細さから実家へメールや電話をするも回線が混雑して使えなかったが、
店内でコーヒーを飲んでくつろいでる人を見ていたら、
なんとか落ち着いていられた。

そして私はコンビニへ駆け込み、
まずはあるだけの食材やらレトルトやらお菓子を買い込んだ。
こうして家に着き、部屋を見ると散乱した様子はさほどなく、
それからテレビをつけた。

被害の甚大さを知るほどに、さみしい気持ちになっていた。
怖さの裏付けなんだろうけど、「どうやって帰った?」とか、
「無事で何より」と応答したり、共有したかった。
実際は守る人もなく、消息を気にかけることもなく、
ただ家でニュースを見て、なんとなくその日は過ぎた。

次の日、実家へ一時帰ろうかと思いようやくつながった電話では、
「家に来ても何もないよ」と安否より物のあるなしという印象が、
悪気はなくても冷たく感じ、実家へ帰ることもやめた。
後に、実家は計画停電があったり物流が滞ったりで、
逆に不便だったかもしれない。

その日以降、連日のように津波の被害、原発事故、計画停電、
食糧流通の不通と、私が経験したことのない現象が立て続けに起き、
幸いにも大きな被害は受けなかったものの、
それがどこか蚊帳の外のような印象を受けたのは、
買いだめした食糧があり、家に籠れる環境であったにすぎない。

手前味噌だけど、なにができるのかと思った。
募金、ボランティア、買占め控え、節電。
でも、なにもしなかった。
私にできることは、普段通りにしていることだ。

しかし避難生活や計画停電の様子を見ていると、
申し訳ない、こんなんでいいのかと思いやすく、
画面の向こうの非常事態にどう落ち着かせるか辟易していた。

二ヶ月が過ぎた頃からその反動に見舞われたように、
震災前に応募した会社の面接に意気を高めて挑んだり、
かつてのように飲んだくれてみたり、
諦めていた恋愛に目を向けてみたりと、
とにかくやりたいことに一心を注いだような感じだった。

猛暑も手伝ってかがむしゃらに過ぎていくも、
やるだけやって何ひとつ得られなかった。
残念だしきつい思いをしたのはたしかだが
迷いや冷静な目に気づきながら行動した結果のような気もしている。
そして、まもなく一年を迎えようとしている。

震災の風化が懸念される中で、
この一年の経験は新たな礎の一部として内在している。
もしかすると地震はきっかけにすぎず、
この心性は普段からなりをひそめてるだけのことだろう。

それよりこうして書きだすことが、
あの日を起源とした出来事の回帰になりそうです。

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2012年03月01日


405 <七色仮面の告白日記>

続・隣人音顛末記

先日のブログで、お隣さんが朝早くからトイレを流す音について書き、
その後入れ替わるように、今度はもう片方のお隣さんが音を出し始めました。

それはステレオから流れてくるハードロックかヘビメタみたいで、
決まって夕方の2、3時間は流しています。
それがウォークマンから聞き漏れるシャカシャカ音ならともかく、
明らかにベースと思しき重低音がはっきり聞こえるのです。

これもトイレの時と同じく「たまたまかな」と思っていましたが、
毎日のようにその重低音が鳴るとお腹まで響くようで、
終いは気持ちが悪くなってきたのです。

私の音への神経質さもさることながら、
また大家さんへ相談して事情説明するのも面倒だし、
夕方なら大目にみてもいいのかなと言い聞かせ、
その時間を見計らって買い物や外出をして様子をみていました。

しかし用もないのに外出しているのもしんどくなり、
その時間に居てもどうやら音がやむ気配もないので、
結局は大家さんへ連絡しました。
すると「1階からも苦情が出てるんです」と、状況は知っていたようです。

こちらのお隣さんが越してきたのは4年前くらいで、
年齢は私と変わらないかもしくは若い男性で、
その時私の家へ挨拶に来た際に「迷惑はかけませんから…」という
めずらしい一言が印象に残っていました。

私は何の迷惑なのかさっぱりわからず、
迷惑らしい迷惑を被ったこともなかったので、
気に留めることはなかったのですが、
今回の件でお隣さんは音楽関係の仕事をしていることを知り、
なるほど辻褄があったような気がしました。

大家さんいわく、
お隣さんは自費でヤマハの防音設備を施し、
絶対に音漏れさせないから入居させてほしいと願い出て、
人柄もあって認めたとのこと。

建物や部屋はどう考えても音楽をやるような造りでもないし、
実費で防音を備えてまで入居したいとは思えないが、
よほどの事情か条件があってのことなのかと思いました。

とはいえ私には不快なのだから、ヘッドホンをすれば事は足りるはずが、
「私がいない時間にステレオをかけるのはどうか」と大家さんが言うので、
そんな安直なアイデアに腹を立てて、
「約款には大音量のステレオ禁止と書いてありますよ」と言っちゃいました。

言い過ぎたかなと思いはしたけど、前回とは状況が違うのだし、
それに普段約款がどうの言う私ではないからいいかなと、
半ばオドオドして成り行きを待つことにしたのです。

その結果、お隣さんは改めて自費で防音を強化させて、
大音量を出すときはヘッドホンをするということになったそうです。
賃貸物件なのに実費をかけてまた工事をするなんて、
よほどその部屋がいいのかなと思いました。

やれやれと思ったところ、大家さんが私の部屋へやってきたのです。
なんでも、お隣さんが今回の音の件で相当へこんだらしく、
そのお詫びにと代理で菓子折りを持ってきたのです。

私は音のこと以上に、この挨拶にびっくりしました。
「大家さんを挟んで手渡されてもよかったのに」と言うと、
「どうやら人目をかなり気にして、申し訳なさと相まってるようです」
と、代理で届けにあがった理由を話した。
「それにあまり出て歩かないタイプだから…」と、意味深な言葉。

ハードロックやヘビメタが好きというと激しい心を持っているのかと思いきや、
大家さんに詫びの菓子折りを託してしまうほど気にしているその反転差が、
私にはとても奇異に映りました。

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2012年02月23日


405 <七色仮面の告白日記>

一人カラオケ

最近、話しをするというのか声を出す機会がなかったので、
ここは楽しみを兼ねて一人カラオケへ行ってきました。

ネットで調べると、神田に一人カラオケ専門店がオープンしたようで、
ホームページを見るとネットカフェのソファで歌う仕組みらしく、
それならメジャーなカラオケ店のほうがいいなと調べたものの、
一人で入る勇気がなくてどうしようかと悩み、
それでもどんなものかと好奇心がくすぶってるし、
ひとまず行ってみた様子で決めることにしたのです。

着いたのは、昼前の新宿。
大体どこの店も空いていて、料金も夜や休日に比べると三分の一程度で、
場所柄を考えてもお手頃な印象がした。

ネットによると、一人カラオケは一時間も歌えばちょうどいいらしく、
店選びは料金、雰囲気、機器と選ぶ基準があるみたいで、
いつもカラオケ店は他人任せでいたからどの基準がいいかわからず、
色々見てまわった末に、30分105円で小奇麗な店に目星をつけた。

にもかかわらず、店前を右往左往しては外から店内の様子を見てはやめようか、
でも一度くらいならと気持ちが定まらず10分経ち、
「よし!」と思ったタイミングで中に入りました。

「いらっしゃいませ」と迎えられ、早口で「一時間一人です」と告げて、
受付表に名前を書こうとすると、意外にも一人来店が目について安心した。
時間帯もよかっただろうし、店員さんが慣れた様子で応対してるように見えたのは、
きっと私が受付表で安心を心得たからだろう。
料金を尋ねると「210円」と言うので、「片道バス料金で一時間は歌える」と高揚感にかわり、
利用の決まりでワンドリンクのコーヒーを注文して、指定された部屋へ向かった。

店は違えど、いつもなら狭く感じる部屋も一人だと意外に広く、どこに座るかとまどった。
一人なら歌う順番がどうとか気にしなくていいし、サビしか知らない曲を歌ってみてもいいし、
複数に慣れているとこういうところが新鮮に思え、
一曲目を歌いはじめるときはドキドキしたけど、終わるころには快適な感じがした。

その楽しさが増して、日頃私がよく口ずさむ歌を迷わずに予約をし、
キーの調整も思うままに合わせられ、立て続けに10曲歌いました。
とはいえ、調子に乗って喉もカラダも休めず歌いっぱなしになると
最後の方では全身で疲れてしまい、ドリンクもコーヒーよりジュースがよかったかもと、
さながら歌手のコンサートは体力勝負だというのが感じられるような気がした。

そしてあっという間に一時間が過ぎ、ルンルン気分で会計へ行くと
「590円です」と言うので、「210円ではないんですか」と聞き返すと、
ワンドリンク代が380円かかる計算だそうです。

ドリンクは別料金とは思いもしなく、詰めが甘いなと一瞬よぎったが、
そもそもカラオケ一人210円は安すぎる気がしたし、
カラオケ利用料よりドリンク代で徴収しなきゃ店も運営できないだろうと、
気分もよかったし、それなりの解釈をして店を出た。

かなり満足な気分が味わえて、一時間で予想以上の面白さがあった。
カラオケの雰囲気を楽しむにはやっぱり複数名ですけど、
楽しんで声を出したいというだけなら、一人カラオケは私にはいい選択です。

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2012年02月16日


405 <七色仮面の告白日記>

手紙箱

この間の日曜日に、押入れの整理をしました。

その最中に見つけたのが手紙箱です。
普段は天袋にしまっていて、日常ではあまり目にすることがありません。
仮に天袋を開けて箱の存在に気付いても中まで見ようとはしなかったのが、
今回はちょっと気になって、手を休めながらいくつかのハガキや便箋に目を通しました。

内容はサンキューレターから年賀状、挨拶文、出会いの文通、三行半?と色々あり、
ほとんどが10年以上前のもので、書かれている内容が当時の私宛のせいか、
なんだかむずがゆくもあり、懐かしさで胸がいっぱいになり、
ホロホロと泣いてしまいました。

私と書き手との関係性によってその内容が前向きであったり、
批判や失意を感じながら書いただろうなと思われるのもあり、
一瞬にしてその書き手の顔やしぐさ、出来事までもが鮮明に呼び起されます。

手紙はメールと違ってわざわざ書いてよこすという行為があり、
メールにも言葉を選んで送信するという行為があるものの、
手紙はとても相手を感じやすいものではないでしょうか。

同じ内容を伝えるにしても手紙とメールの違いは、書き手の筆跡が見て取れることです。
筆跡には書き手の存在だけでなく感情までが映っているようで、
それがリアルに伝わってくる要素なのかもしれません。

「あなたの毒舌は好きよ」
「最初は妙な壁を感じていたけど、今では色々話せるようになって嬉しい」
「私はあなたと感じ方が似ていると思うの」
「実は私、あなたのことが男として好きだったのよ」

当時の私へ何か一喝したい気持ちになったのは、
今日に至るまでに起きた様々な出来事を知る由もないあの頃が、
この手紙箱にあふれているからです。

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