本村さんと実名報道されだした元少年。
ネットに溢れる様々なようで偏向性のある意見。
ふと思い出してしまった自分の思春期時代。
第二次ベビーブーム世代。
大量生産された子どもと、大量消費を義務付けられた学校。
付け焼刃のプレハブ校舎の中で起きていたこと。
「声が小さい」と女子たちに無理矢理特訓させられたTさん。
部活を辞めただけでみんなに無視されたKくん。
太っているからというだけで差別的なあだ名を付けられたSさん。
先生のいない自習の時間にイジメられ、パンツまで脱がされたMくん。
残した給食を無理矢理G先生に食べさせられていたIさん。
宿題をサボり過ぎて休み時間にC先生にボコボコにされていたAくん。
お喋りしていた罰として文字通りD先生に足蹴にされたBくん。
委員長なのにクラスを静かにさせなかったと顔が歪むくらいビンタされたJくん。
誰もなりたがらない委員長にイタズラ心で男Nを推薦したEくん。
委員長になりたくない一心でFくんを推薦した男N。
騒いでいるクラスで一人、みんなを静かにさせるフリをした男N。
D先生を見かけただけで足がすくむようになった男N。
男Nにイジメともいえる過剰なイタズラを仕掛けてきたOくん。
男Nに「勉強を教えてくれないか」と冗談のように呟いたOくん。
Oくんの心の叫びに救いの手を伸べなかった男N。
校内外で悪い噂が絶えなくなったOくん。
もういい。
挙げだすときりがないし、それが僕のいいたいことじゃない。
僕のいいたいこと、それは、あの頃感じたこと。
先生たちも同級生たちもみんなバカだということ。
バカな同級生たちもいずれバカな大人になるんだろうなということ。
バカな大人になってバカな子ども時代のことは忘れてしまい、
いずれバカな子どもを産み育てるんだろうということ。
そんなことを考えていた、ということ。
せめて僕だけは、いつまでも覚えていよう、と決意した、ということ。
「葬式ごっこ」に類することは校舎の内外で、いたるところで起きていた。
大人たちは何も気付かなかったか、気付かないフリをし、
「信じられぬ大人との争いの中で」、
子どもたちは誰かを傷つけることでストレスをかろうじて解消し、
誰かを犠牲にすることで、狂気が自分に襲い掛かる事態を避け、
「弱い者達が夕暮れ さらに弱いものをたたく」。
そして子どもたちはやがて、のうのうと大人になり、
あの頃の大人たちと同じように気付かないフリをし、
罪を犯した人間について、したり顔で、のうのうと「つぶやく」。
覚えていますか、あの頃のこと。
僕は覚えていますよ。
「忘れたとは言わせない」と言いたいところですが、
おそらく忘れているんでしょうねえ。
でも、僕は覚えています。
僕みたいな人は少数派なのかもしれません。
そのことを呪った時期もありましたが、
今ではそのことを誇りに思います。
そして、マイノリティの一人として、今後の人生、「それらしく」生きていきます。