私は本屋さんをやってみたいと思っていました。それもただ
漫然と本を売るだけの店ではなく、自分の好きな本を
優先的に仕入れて一等地に置くような、主張のある店です。
そこに椅子を置いて自由に本を読んでもらったり、何なら
コーヒーとかもサーブしたりする。店を閉めた後はそこで
読書会を開いたり、同人誌の編集をしたりもする。そんな
ことを思い描いていました。
たまたま本屋を経営している知人にその話をしたら、
一笑に付されましたね。「僕たち本屋はどうやって立ち読みを
減らそうかと毎日苦心惨憺しているのに、椅子を置くなんて、
どこからそんな発想が出てくるの?」と鼻先であしらわれて、
まともに聞いてももらえませんでした。
いかにも「単なる本好きの小娘のたわごと」と聞き流されて
しまったこの発想、しかし昨今の本屋さんには結構椅子の
置いてあるところも見かけるようになったし、「コーヒーをサーブ」
というのは今流行の「ブックカフェ」に通ずるものですよね。
「自分の好きな本を一等地に置く」というのだって、今や
「書店員の選ぶ本屋大賞」なるものもできたりして、強ち
無謀なアイディアとも言えないじゃないですか。
かように「時代の先を行き過ぎる発想」というのは、
いつの世も迫害されるものです。これは、その時代の
人々の間に頑なに蔓延している「〜はこうであらねば
ならない」という思い込みによるものです。こうした硬直した
価値観ほど、自由な発想を妨げるものはありません。
これって知らず知らずのうちに感染するから、ちゃんと
かかったことが分かる「新型インフルエンザ」なんかより
百倍有害かもです。
因みに、これからCSNが新事業として取り組もうとしている
「焼きドーナツ」の製造販売についても、私はあるイメージを
作りつつあります。コンセプトは「地域のコミュニティースポット」
です。「その土地に住んでいる人々の集いの場」を作ることです。
昼間は焼きたてのドーナツをほおばり、おいしいコーヒーをのみながら
ちょっと一息ついたり、顔を合わせた人とお喋りを楽しんだりする。
夜になれば酒を酌み交わしながら、そこに居合わせた人たちが皆で
しみじみと人生を語り合う。そう、あの60年代のパリのカフェのように!
あんな熱気は望めなくとも、こじんまりとしんみりと。
どうも、「フン、ただの世間知らずの老婆のたわごとさ」と
切って捨てる声が聞こえてきそうな代物ですが、でもね、それって
もしかして「商売というのは〜しなきゃいけないもの」っていう
「オモイコミエンザ」に感染してるんじゃありません?
以前は歩みののろい亀さんのような感じだった時代の
スピードは、今や何倍にも上がっています。きっと遠からず
私に追いついてくれるはず。そうすりゃ「オモイコミエンザ」
なんてコワくないモン!
・・・と、今年最後のブログが些か大言壮語気味になって
しまいましたが、「新事業」なんてこういう風にしてテンション
上げていかないことには、とても実現なんてできません。
できませんが、いざ開始となれば、FCのエネルギーだけじゃなく、
現実に根ざしたAの判断力が必至。その辺は決してぬからぬ
つもりでおります。「鳩のように清く、蛇のように聡く」という
私のモットーは、老いて益々堅牢です。ご心配なく。
それでは皆様、まだ時期は定かではありませんが、
来年のドーナツ屋開店をお楽しみに。よいお年を!
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