2009年12月28日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

「オモイコミエンザ」なんてコワくない!

 以前、といっても40年以上も前のことになりますが、
私は本屋さんをやってみたいと思っていました。それもただ
漫然と本を売るだけの店ではなく、自分の好きな本を
優先的に仕入れて一等地に置くような、主張のある店です。
そこに椅子を置いて自由に本を読んでもらったり、何なら
コーヒーとかもサーブしたりする。店を閉めた後はそこで
読書会を開いたり、同人誌の編集をしたりもする。そんな
ことを思い描いていました。

 たまたま本屋を経営している知人にその話をしたら、
一笑に付されましたね。「僕たち本屋はどうやって立ち読みを
減らそうかと毎日苦心惨憺しているのに、椅子を置くなんて、
どこからそんな発想が出てくるの?」と鼻先であしらわれて、
まともに聞いてももらえませんでした。

 いかにも「単なる本好きの小娘のたわごと」と聞き流されて
しまったこの発想、しかし昨今の本屋さんには結構椅子の
置いてあるところも見かけるようになったし、「コーヒーをサーブ」
というのは今流行の「ブックカフェ」に通ずるものですよね。
「自分の好きな本を一等地に置く」というのだって、今や
「書店員の選ぶ本屋大賞」なるものもできたりして、強ち
無謀なアイディアとも言えないじゃないですか。

 かように「時代の先を行き過ぎる発想」というのは、
いつの世も迫害されるものです。これは、その時代の
人々の間に頑なに蔓延している「〜はこうであらねば
ならない」という思い込みによるものです。こうした硬直した
価値観ほど、自由な発想を妨げるものはありません。
これって知らず知らずのうちに感染するから、ちゃんと
かかったことが分かる「新型インフルエンザ」なんかより
百倍有害かもです。

 因みに、これからCSNが新事業として取り組もうとしている
「焼きドーナツ」の製造販売についても、私はあるイメージを
作りつつあります。コンセプトは「地域のコミュニティースポット」
です。「その土地に住んでいる人々の集いの場」を作ることです。
昼間は焼きたてのドーナツをほおばり、おいしいコーヒーをのみながら
ちょっと一息ついたり、顔を合わせた人とお喋りを楽しんだりする。
夜になれば酒を酌み交わしながら、そこに居合わせた人たちが皆で
しみじみと人生を語り合う。そう、あの60年代のパリのカフェのように!
あんな熱気は望めなくとも、こじんまりとしんみりと。

 どうも、「フン、ただの世間知らずの老婆のたわごとさ」と
切って捨てる声が聞こえてきそうな代物ですが、でもね、それって
もしかして「商売というのは〜しなきゃいけないもの」っていう
「オモイコミエンザ」に感染してるんじゃありません?

 以前は歩みののろい亀さんのような感じだった時代の
スピードは、今や何倍にも上がっています。きっと遠からず
私に追いついてくれるはず。そうすりゃ「オモイコミエンザ」
なんてコワくないモン!

 ・・・と、今年最後のブログが些か大言壮語気味になって
しまいましたが、「新事業」なんてこういう風にしてテンション
上げていかないことには、とても実現なんてできません。
できませんが、いざ開始となれば、FCのエネルギーだけじゃなく、
現実に根ざしたAの判断力が必至。その辺は決してぬからぬ
つもりでおります。「鳩のように清く、蛇のように聡く」という
私のモットーは、老いて益々堅牢です。ご心配なく。

 それでは皆様、まだ時期は定かではありませんが、
来年のドーナツ屋開店をお楽しみに。よいお年を!


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2009年12月21日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

暮れの太鼓

 一昨日文教シビックホールで行われている、「鼓童」の
公演に行って来ました。一年はこの太鼓の音で暮れるのが
10年来の恒例になっています。

 それにしてもいつ聴いても素晴らしいですね。
一糸乱れぬ勇壮な撥さばきは、鳥肌ものです。
鍛えられた筋肉が縦横に動くさまは、見事と言う他
ありません。

私の従妹はもう30年以上前に「鬼太鼓座(おんでこざ)」
に入団しました。その頃の大きなマラソン大会には
「鬼太鼓座」のゼッケンをつけた選手が必ず走っていたものです。
彼女はそのマラソンの練習で身体をこわし、しばらく休団して
いましたが、その後分かれて立ち上げられた「鼓童」に移り、
リーダーの藤本吉利氏と結婚、今や夫婦で重鎮となっています。

 この吉利さんの大太鼓がまた何ともかっこいい。
2001年に日本人アーティストでは初めてノーベル平和賞
のコンサートへ出演したときは話題を呼びましたね。

 立ち上げ当初は、佐渡の民家を借りての団体生活、
食糧は近隣の住民からの寄付でまかなうという、苦しい
生活だと聞いていました。それが今は押しも押されもせぬ
「世界の鼓童」となり、各国を飛び回っての活躍ぶり、
本当に感慨無量です。

 以前は東京に公演があると一緒にご飯を食べたり、
伯父の家で歓談したりできたのですが、今は忙しすぎて
そんなことも稀になってしまいました。でもこうして毎年
晴れやかな舞台姿に会えるだけで私は大満足。そのうち
是非佐渡を訪ねようと思っています。

 「鼓童」最年長の吉利さんは、もう50代も半ばを過ぎ、
今回は唄だけで太鼓は打たず、専ら引き立て役に徹して
いました。彼の大太鼓が聴けなかったのは誠に寂しい限り
ですが、後進を育て、道を譲るのも大切なリーダーの
役割です。年々舞台に上がる若い団員たちが増え、
達者な演奏ぶりを見せてくれるのもまた、応援団としては
嬉しいことです。

 さて、「鼓童」も聴いたし、これで今年も思い残すこと
さらになし・・・と言いたいところですが、まだ年賀状は
書かなきゃだし、忘年会はこれからだし、大掃除もあるし、
年はなかなか清々とは暮れぬものですね。

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2009年12月14日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

帯に短し…

 いやはや疲れますねえ。
何のことかって?物件探しです。

 何の物件かって?
ドーナツの製造販売のための店舗物件です。
この間「NPOまつり」で試験的に販売し、大好評でした。
今度は来年の1月30日に渋谷区女性センター・アイリスで
開催される「渋谷フォーラム」で売ってみることになっています。

 詳しくは下のチラシをご覧下さい。(疲れているので手抜き…)

091214dounatutirasi1.gif

 因みにこの絵と文字はA子さんの書いたものです。
かわいいでしょ?(画像をクリックして大きくして見てね!)

 それでも活字の部分が読みづらいと思うので補足しときます。

上の部分:焼きドーナツ販売場所 バザー会場
       販売時間 10:00〜12:00

下の右横:「他にも・・・
       ★「やまいも」の粉入りでふんわり感をプラス!
       ★骨粗しょう症の予防になるとの研究結果が発表され
        ている天然糖質「トレハロース」を使用。
       ★どんな種類のドーナツがあるかは当日のお楽しみ!」

一番下の部分: 「キャリア・サポート・ネットワークでは、現在
           雇用創出事業の一環として焼きドーナツの
           製造・販売を計画しています。今回は試作段階
           ではございますが焼きドーナツの販売を致します
           ので、皆様ぜひお立ち寄り下さい。」

 ってなわけで、いよいよ来年の4月には本格的な
店舗販売に踏み切りたい、とそう思ってそのための
店舗を探しているわけです。

 品物が売れるためには人通りの多さが欠かせない。
しかしそういう物件は高くて手が届かないし、何とか
予算内で収まりそうな物件には、裏通りにあるとか、
駅から離れているとかの難がある。帯にもたすきにも
いまいちなのよねえ。はてさてどうしたものやら、
物件が決まらないと融資申請の書類も作れません。

 まるで会社を何軒受けても受けても内定が出ない
就活者の気分です。年内に何とかめどをつけて
準備にとりかかりたいものです。


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2009年12月07日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

時流、水流、後ろ向き

 いよいよ年の瀬です。
「年の瀬になると何かが故障する」
ここ数年の我が家のありがたくないジンクスです。
3年前にはパソコン、一昨年には給湯器、昨年は
エアコン、そして今年は…やはり来ました、洗濯機です。

 もう20年近くも使っているんだから、壊れても
当たり前と言えば当たり前。その間に修理も5〜6回は
頼んでいます。

 シャープの製品で、全自動洗濯機の横に脱水槽
みたいな形状の乾燥機がついている、ちょっと変わった
タイプのやつで、結構便利だったんだけど、この乾燥機
の方は10年目くらいでダメになちゃいました。その後は
洗濯槽だけを使っていたんだけど、それでもまあよく
持ったと思います。修理に来てくれた人もびっくりして
いました。

 結局どこを探しても部品がないとのことで、修理は
諦めざるを得ませんでした。そこで今活躍しているのが
階下にほったらかしになってた古い二槽式の洗濯機。
恐る恐るスイッチを入れてみたら、ちゃんと動いてくれて
大助かりです。

 但し、何にも自動ではしてくれないので、洗濯の
間は上と下を行ったり来たり。給水して、洗剤を入れて
回して、排水して、また給水してすすぎ洗いをして、
排水して、脱水槽に洗濯物を移してスイッチを入れる。
一回の洗濯が終わるまでに何回も人の手が必要です。

 そんな手がかかる二槽式ですが、全自動にはない
使い良さもあります。水量はどんな風にも微調整がきき、
少量の洗濯物でも無駄なくできる。脱水も短くしたいものと
長くしたいものとを分けてすることができる。それに何と
いっても「センサー」というデリケートなやつが関与して
いないので、故障しずらいというのが最大の長所ですね。

 昨今のように何でも自動で機械に任せておくためには、
それだけ精密な機器が必要となるわけで、その分故障も
多いということになるのは当然ですよね。便利になれば
なるほど、リスクも高くなるというわけです。その最たるものが
パソコンで、いきなり壊れちゃったら何もかもがお手上げ
状態。それなのに寿命は短い。ウィルスで簡単に重病にも
なっちゃうし。それでいつも故障したときのことを考えて
何かと気を配ってなくちゃならない。いやはや誠に厄介な
代物でござんすねえ…。

 思えば私が子どもの頃には、まだ盥と洗濯板が健在で、
シーツみたいな大きなものなんかは、冬の寒い日でも外で
洗っていたものです。そんな重労働から主婦を解放してくれた
のが洗濯機。当時は今我が家にあるものよりももっと単純で、
脱水は手でハンドルを回してするようなものでしたが、
それでも革命的な製品でした。

 今我が家で働いてくれているのは、ナショナル(現在は
パナソニック)のその名も「愛妻号」。洗濯みたいな労働から
妻を解放するために洗濯機を買い与える夫は「愛妻家」だ、
という何とも旧弊な考え方が丸見えのネーミングですね。
今だったら噴飯もののこの名前にも、当時の堅固な
役割分担意識が偲ばれます。

 さて、たった今役割を終えた洗濯機が、「渋谷区レスキュー
サービス」というので来て貰った若者二人の手によって運び
出されたところです。洗濯機も今やどんどん進歩して、乾燥機と
セットになった便利そうなのが沢山出ていますが、当分は
後釜を「愛妻号」に務めてもらおうと思っています。


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2009年11月30日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

アメとムチ

 昨日第6期の「交流分析(TA)学習講座」が終了しました。
前期から新たに「自己脚本分析シート」を導入して、最終回の
テーマである「変容のための再決断」に活用することを試みて
います。

 「自己脚本分析」は、これまで学んできたことを総動員して、
自分がいかなる「人生脚本」を持っているかを明確にしていく
作業です。そのうえで「こうでありたい自分」を想定し、それを
実現するための具体的な行動に落とし込んで、「決断」という
形で発表する、という手順を踏みます。

 重要なのは「分析」そのものではなく、その分析を「どう日々の
生活に活かすか」です。その日の「決断」が「絵に描いたもち」
で終わってしまっては、何の意味もありません。

 昨日感じたのは、「決断」から「行動」へというプロセスの間に
「動機づけ」という問題が隠されていることです。人間が行動を
起こすためには、何らかの「動機」が必要です。そしてその
「動機」が、「面倒くさい」とか「やる気が起きない」とかいう
行動を疎外する感情よりも強く大きいものであることが必要です。

 この「動機づけ」については、「大人のための勉強法」(PHP新書)
という本を書いた精神科医の和田秀樹氏が、その「パワーアップ編」で
面白いことを言っています。氏によると、学習の動機づけに関する
教育心理学の理論としては、外的報酬を重視する「外発的動機論」と、
内なる学習意欲をより大切にする「内発的動機論」とがあって、
1950年くらい迄は前者が有力でしたが、60年以降になると
それへの反発から後者が台頭してきて主流となったとのことです。
現在でもその潮流は続いていて、文化的環境における方向づけ
とか、外発的動機を内化するプロセスが重要視されいるようです。
更に子どもたちの学習動機に関する調査でも、「内発的動機」を
持っている子どもの方が成果が上がる」という結果も出している
そうです。

 しかし皮肉なことに、世界での教育的潮流は「外発的動機」を
重視する方向に変わってきていると言います。かつては勉強の
楽しさや生徒の自主性を重んじる教育を行っていたアメリカや
イギリスの教育は悉く失敗に終わり、数学や言語能力に著しい
低下をもたらしたという結果が数値とともに報告されています。
こうした「内発的動機」を重んじる欧米の教育に倣った形で
始められた日本の「ゆとり教育」が、今や「失敗だった」と言われる
のもむべなるかなですね。

 こうして国際的な教育政策が「外発的動機」をより重要視する
方向に傾いているのに加えて、精神分析や治療医学の流れも
同じような傾向にあると言います。精神分析の祖フロイトは、
「人間の根源的な動機は本能的な欲望を満たすことにある」と
主張した典型的な内発論者でしたが、その後、人間を他者との
関係性のなかで捉え、「人間は劣等感の補償を目標に生きる
のであり、それが行動の動機づけとなるのだ」という理論を
展開したアドラーをはじめ、対象関係理論を提唱したフェアバーン、
母親との「分離不安」に人間の不安の根源を見るボウルビーと
いった、関係志向や愛されるという報酬を求める報酬志向の
「外発的動機論」を唱える学者が次々と現れています。

 決定的なのは、独自の自己愛理論をひっさげて、精神医学界に
旋風を巻き起こした、かの自己心理学の巨人ハインツ・コフート
の登場です。彼は、「人間というのは誰しも人にほめられたい、
人に頼って安心感を得たい生き物なのだ」と主張します。
フロイトがこうした自己愛は幼児期のもので、それが解消して
「対象愛」に移行しないのは発達的な問題があるからだ、と考えた
のに対して、コフートは、大人になってもこうした欲求を持つことは
別に異常ではなく健康なのだ、という全く新しい「自己愛」の概念を
提唱しました。

 コフートは実際にこの理論に従って、患者に起こる様々な治療者
への転移を利用し、それを活用することで大きな成果をあげている
と言います。つまり原初の親子関係で問題を抱える患者が抱く
「治療者にほめられたい、認められたい」という患者の欲求に共感し、
それを叶えることで症状を軽減していくのです。ここでも「自分の
傾倒する人に認められ、ほめられる」という、行動への「外発的な
動機」が推奨されています。

 和田氏は認知行動療法の専門家ですので、従来の精神分析的
手法には批判的です。その点は、精神分析の世界で長く冷や飯を
食わされ、その反発から交流分析を創始したバーンも、50年代の
人とはいえ和田氏の主張と通ずるところがあるかもしれません。
「交流分析」が「精神分析」を基礎としながら、非常に他者との
関係性や行動を重んじるのも、旧弊な精神分析の手法への
アンチテーゼでもあるでしょう。こうして考えてみると、最後の
「変容に向けての行動の決断」には、「脚本からの脱出」という
一見内発的な動機を掲げながら、「他者から承認される行動」
という「外発的な動機」を必要とすることが見えて来ます。

 特に最後の行動決断において、「他者から見える行動でなければ
ならない」とされているのは、「心の中で何を考えているのかより、
やるかどうかの方が大事」とされる行動主義の考え方そのものです。
一時は下火になったものの、その効果の高さから90年以降に再び
注目を浴びるようになった行動療法ですが、和田氏の言うように
「病的な人間を社会適応させていくためには、外的な動機づけが、
実は非常に重要なものだという考え方に、精神医学界全体が
変わりつつある」というのは事実のようです。

 俗に「アメとムチ」とも呼ばれる「外発的動機づけ」が、世界の
教育界や精神医学分野で主流になっているとすれば、きっと
かなりの効果が認められるからでしょう。TAでの「変容のための
行動」にもそれが有効かどうか、是非探ってみたいところです。


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2009年11月23日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

大いなる遺産

 今日はこの夏に96歳で亡くなった伯父の納骨に
八王子の霊園に行き、久しぶりの墓参りをしてきました。
そこには私の祖母と母の骨も納められています。
92歳の伯母は、納骨の前に生前伯父が使っていた
眼鏡と手紙を骨壷に入れました。「最後のラブレターよ」
と言いながら。

 伯父夫婦には子どもがなかったので、私が形だけの
養女になっていますが、実際は伯母の妹の息子である
従弟の一家がこまごまと面倒をみてくれています。
今日はその従弟一家と伯母と私の6人の一行でした。

 伯父は最後までぼけもせず、足腰こそ弱ってはいたものの、
食事も排泄も人の手を借りずにしていました。90歳になろう
というときに家を建て直して伯母に残し、葬儀の仕方も
詳細に指示して、「お別れの言葉」や「喪中はがきの文面」まで
作ってありました。全て伯母が困らないような配慮をして
見事に生を全うしました。

 それでも伯父はかなり気難しいところのある人で、気に入らない
ことがあると何ヶ月も口をきかなかったり、伯母が自分より遅く
帰るのを許さなかったり、私だったらとても我慢できないような
関白ぶりで、伯母も「何度ももうこれはだめかな」と思ったと
いいます。けれどもこうして添い遂げたのは「愛しちゃってた」
からだと、伯母は92歳の老婆とは思えないようなことを臆面も
なく口にします。

 伯父が亡くなる3日前に伯母は「今も私のこと愛してる?」
と尋ねたそうです。伯父は「うん、愛している」と答えたと、
伯母は満足そうに語っていました。

 伯父は私にも少しですがお金を残してくれました。
ちょうどNPOで新事業を展開しようという計画が進んで
おり、資金をどうやって工面しようかと悩んでいたところ
だったので、本当に願ってもないタイミングでした。

 その新事業というのは、「ドーナツの製造販売」で、
設立以来の悲願である雇用創出事業につながる
可能性のあるものです。今日は墓前にそのドーナツを
供えて事業の成功を祈ってきました。往きの車中では
従弟一家にも食べてもらいましたが、高校生と大学生の
二人の娘たちにも「おいしい」と大好評。とても励みに
なりました。

 納骨を無事済ませて、昼食をとりに訪れた高尾山は
折りしも紅葉の真っ盛り。鮮やかな赤に彩られたもみじの
葉に見とれながら、おいしい料理を頂きました。伯母は
そこにも伯父の写真を持参してしきりに話しかけていました。
温厚で善良な従弟と、飾らず出すぎずに物事をてきぱきと
さばく妻。どこまでも健康そうな若さが輝く二人の娘たち。
伯母はまだ気丈に一人暮らしを続けていますが、この一家に
見守られていれば、決して孤独ではないでしょう。こういう絆も
伯父が残していった大きな遺産なのだと思いました。

 しみじみと伯父の残してくれた様々なものを料理とともに
味わい、空も心も晴れ渡るすてきなひとときでした。


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2009年11月16日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

翔べ、女たちよ!

 今日は、CSNが女性相談を受託している埼玉県騎西町の
騎西小学校PTAからの依頼で講座を行い、先ほど帰宅した
ところです。(NPO活動カレンダーをご参照ください)

 私が騎西町で女性相談を担当してから、かれこれ4年に
なりますが、なかなか相談件数が伸びないのが悩みの種でした。
そこで会場のロビーでチラシをまいたり、ミニグループワークを
開催したりしてPRに努めてきたのですが、そのワークに参加して
くださった方がPTAの役員さんにお話をしてくださったとのことで、
今回の依頼となりました。口コミというのはありがたいものです。

 折りしもインフルエンザで学級閉鎖のクラスも出ているという
状況にもかかわらず、20名以上の参加があり、2時間半の時間が
短く感じられるほどの盛況でした。

 なかでもエゴグラム別に分かれて行ったフリートークでは、
どのグループも話しに花が咲き、当初決めていた10分では
納まりきれない感がありました。

 一番多かったのがNP高位のグループ。次いでAC高位の
グループでした。この2グループは、「話してみると皆が同じ
ような悩みを抱えている」ということが分かり、これを契機に
「NP会」をつくろう、という提案まで出ていたようです。

 この少子化時代に、3人4人の子どもをお持ちの方も結構
多く、その上仕事もして、家事もこなしてという奮闘振り。
家庭や職場での人間関係に悩んだり、夫婦の意識の違いに
苦しんだりしながらも、皆本当に頑張っていらっしゃいます。

 この講座をきっかけに、思いや悩みを分かち合う場が
できれば、こんなに嬉しいことはありません。「深刻な
相談じゃなければ行っちゃいけないのかと思っていった」
とか、「どうも馴染みがないので敷居が高くて…」という
声も聞かれた女性相談ですが、「愚痴を言うだけでも気が
楽になるから気軽に来てね」としっかりPRをしてきました。

 「やりたいと思うことがあっても、自分に自信がないから
結局はあきらめちゃう」
 「言いたいことがあっても、周囲のことを考えていつも
我慢をしてしまう」
 「ストレスがたまっても発散するところがないから、つい
いらいらして子どもにあたってしまう」

 今日会場で聞かれたこれらの言葉は、どこの女性たちでも
思い当たるものばかりだと思います。「どんな些細なことでもいい、
ほんの少し今までのやり方を変えてみよう。その積み重ねが
大きな変化に育っていくのよ」という私の言葉が、一人でも多くの
方の胸に届き、その日常に活かされることを願っています。


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