CSNを訪ねていらしたことがあって、「女性とキャリア」
というようなことで話をしたことがありました。その方は
結婚していらっしゃいましたが、妻が外で働き、夫の方が
家事全般を引き受ける、いわゆる「主夫家庭」だとのこと
でした。今はそういう家庭も増えているのかもしれませんが、
まあ、まだまだ珍しい形でしょうね。
私の周りでは、自らはまだ働き続けているけれど、
夫の方は定年を迎えたりして仕事をしていないという
ケースがちらほら出てきました。そのなかで、夫が料理を
はじめ家事を取り仕切っているという話を何人かから聞き、
何もできずに家の中で厄介者扱いされている夫たちの
多いなかで、まあ、何と羨ましい、と思っていたら、当の
ご本人たちは口をそろえて「もう、うっとおしくてたまらない」
とおっしゃるのですね。
よくよく聞いてみると、確かに「今日は家で食事をとるのか
とらないのか」をいちいち事前に知らせることを強要されたり、
余り食べたくなくても用意されたものを我慢して食べなくちゃ
ならなかったり(そうしないと機嫌が悪くなる!)、入浴や
睡眠をチェックされたり、聞くだに息が詰まりそうです。
でも、それって外で働く世の夫たちが、ずっと家の中に
いる妻からされてきたことじゃないのかしらね。家事全般を
こなすってことは、「家庭」という組織を運営していくわけ
だから、何らかの管理と束縛は必ずや必要になります。
なまじ才のある男だと、働いている妻がどうしてもおろそかに
しがちなその「管理者」のポジションにすらっと滑り込み、
それで自らの老後の生活に張り合いを見つけたりするものの
ようです。
我が家の夫ももう外で働くことはなくなって、一日中家に
いるのですが、そんなにこまめに家事をする方じゃありません。
まあ、自分の食事くらいは調達して食べていますが、あとは
犬の世話をするくらいです。それでも彼が家にいてくれるので
私は心置きなく外に出て働けるのですから、ありがたい存在
ではあります。
夫はそれ程才のある方ではないから、「管理」なんて高等技術を
要するようなことはできないし、やろうともしませんが、「〜やって
おいてね」と頼めば、それだけはちゃんとやってくれます。働く妻を
支えるのは、案外それくらいがちょうどいいのかもしれません。
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