新しい法人名義の口座をつくるために銀行に行った。
現在進行中の新プロジェクトには、これまで使っていた
三菱東京UFJ銀行とは別の口座を充てる方が管理しやすい。
そこでもう一つ三井住友の恵比寿支店に開設することにした。
本当は昨年のうちに済ませたかったのだが、年末年始が
ばたばたしていたせいでずれ込んでしまったのである。
ご存じの通り銀行の窓口は午後3時まで。
必要書類は、3か月以内に取得した法人の登記簿謄本、
銀行への登録印、代表理事の身分証明書と印鑑である。
全部揃えて午後1時に窓口に向かい、口座開設申請書とともに
提出した。
ところがである。
これでは確認書類が足りないというのである。
渡された「口座を開設される法人のお客さまへのお願い」という
プリントには、必要書類として─
@履歴事項全部証明書
A法人の印鑑証明書
B手続きに来店される方のご本人を確認する公的資料
とある。さらに設立6か月以内の場合は
C税務署に提出した「法人設立届出書」
D定款の写し
E株主などの名簿・設立趣意書・設立時の貸借対照表の3点
が列挙されている。そのものものしさにしばし呆然。
過去に法人口座を開設したのは3回。
三菱東京の他にゆうちょ銀行、それと横浜信金である。
そのいずれにおいてもこんなに書類を要求されたことはない。
登記簿謄本と代表者の身分を証明できるものがあればすぐに
口座をつくってくれた。いつからこんなに厳しくなったんだろう。
とはいえ呆然としているばかりでは事は進まない。
我が法人は設立6か月以内ではないからC〜Eは不要だ。
しかし、手元に@とBはあるが、Aの印鑑証明を準備していない。
銀行の法人登録印は持参したが、実印は持ってきていない。
実印がなければ印鑑証明はとれない。
そして印鑑証明をとるためには渋谷の法務局に赴かねばならない。
それからは時間との競争。
すぐさま事務所にとって返し、実印をひっつかんでハチ公バスに
飛び乗った。のんびり走るバスと渋谷の渋滞にやきもきしつつ、
法務局に辿り着いたのが2時ジャスト。そこで印鑑証明を申し込むと
「印鑑証明登録カード」なるものがないとだめだと言われ、その手続きに
十数分。やっと所定の申込を終え、なお待つこと十数分。「悲願」の
証明書を手に法務局を飛び出したのが2時40分。渋谷駅まで突っ走り、
電車で恵比寿にとって返して駅前の銀行に3時ジャストに飛び込んだ。
ここまでして書類を揃えて提出し、「さあ、どうだ!」という
意気込みも、窓口で新入社員らしき女性店員が、長々と、かついかにも
たどたどしく繰り出すマニュアル通りっぽいヒアリングに鼻挫かれた。
「他に法人口座をお持ちなのはどちらの銀行でしょうか?」
「当行に口座を開かれる理由は何でしょうか?」
「当行に個人でのお口座はお持ちですか?」…等々。
こちらが途中で質問すると「あ、ちょっとお待ちください」
と言って何度も奥に聞きに行く。あげくの果てに「申し込みは
お受け致しますが、後日事務所の賃貸契約書などの書類を
お見せ頂くことがございます。場合によっては口座開設を
お断りすることもございます」とのたまう。
「え?今日口座つくってくれないの?」
「はい、大体2週間後になります」だって。
それを早く言えよ!もう一気に力が抜けたね。
それにしても「警察からの指導があった」とはいえ、たかだか
銀行口座をつくるだけにこんなご大層な手続きがいるとは、全く
恐れ入谷の鬼子母神。多分2週間の間に、法人の実体があるかどうか
行員が駆り出されるかなんかして足で裏を取るのに違いない。
このデジタル時代に、金に纏わる巧妙なデジタル犯罪対策が、
ものすごく時間のかかるアナログな調査に頼るしかないってところが、
何とも皮肉ではある。
帰って来てから調べたら、どうも通達が出たのは平成22年の
ことらしい。法人口座をつくったのは、最近でも5年くらい前だから、
ひっかからないで済んだのよね。だがこんなことだと、新しく法人
つくったはいいけど、口座も開けないなんていう事態が起こりかねない。
電脳時代、何事も益々窮屈になるばかりである。
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