2013年02月02日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

こんな事態に誰がした?!

 つい先日のこと。
新しい法人名義の口座をつくるために銀行に行った。
現在進行中の新プロジェクトには、これまで使っていた
三菱東京UFJ銀行とは別の口座を充てる方が管理しやすい。
そこでもう一つ三井住友の恵比寿支店に開設することにした。
本当は昨年のうちに済ませたかったのだが、年末年始が
ばたばたしていたせいでずれ込んでしまったのである。

 ご存じの通り銀行の窓口は午後3時まで。
必要書類は、3か月以内に取得した法人の登記簿謄本、
銀行への登録印、代表理事の身分証明書と印鑑である。
全部揃えて午後1時に窓口に向かい、口座開設申請書とともに
提出した。

 ところがである。
これでは確認書類が足りないというのである。
渡された「口座を開設される法人のお客さまへのお願い」という
プリントには、必要書類として─
@履歴事項全部証明書
A法人の印鑑証明書
B手続きに来店される方のご本人を確認する公的資料
とある。さらに設立6か月以内の場合は
C税務署に提出した「法人設立届出書」
D定款の写し
E株主などの名簿・設立趣意書・設立時の貸借対照表の3点
が列挙されている。そのものものしさにしばし呆然。

 過去に法人口座を開設したのは3回。
三菱東京の他にゆうちょ銀行、それと横浜信金である。
そのいずれにおいてもこんなに書類を要求されたことはない。
登記簿謄本と代表者の身分を証明できるものがあればすぐに
口座をつくってくれた。いつからこんなに厳しくなったんだろう。

 とはいえ呆然としているばかりでは事は進まない。
我が法人は設立6か月以内ではないからC〜Eは不要だ。
しかし、手元に@とBはあるが、Aの印鑑証明を準備していない。
銀行の法人登録印は持参したが、実印は持ってきていない。
実印がなければ印鑑証明はとれない。
そして印鑑証明をとるためには渋谷の法務局に赴かねばならない。

 それからは時間との競争。
すぐさま事務所にとって返し、実印をひっつかんでハチ公バスに
飛び乗った。のんびり走るバスと渋谷の渋滞にやきもきしつつ、
法務局に辿り着いたのが2時ジャスト。そこで印鑑証明を申し込むと
「印鑑証明登録カード」なるものがないとだめだと言われ、その手続きに
十数分。やっと所定の申込を終え、なお待つこと十数分。「悲願」の
証明書を手に法務局を飛び出したのが2時40分。渋谷駅まで突っ走り、
電車で恵比寿にとって返して駅前の銀行に3時ジャストに飛び込んだ。

 ここまでして書類を揃えて提出し、「さあ、どうだ!」という
意気込みも、窓口で新入社員らしき女性店員が、長々と、かついかにも
たどたどしく繰り出すマニュアル通りっぽいヒアリングに鼻挫かれた。
「他に法人口座をお持ちなのはどちらの銀行でしょうか?」
「当行に口座を開かれる理由は何でしょうか?」
「当行に個人でのお口座はお持ちですか?」…等々。

 こちらが途中で質問すると「あ、ちょっとお待ちください」
と言って何度も奥に聞きに行く。あげくの果てに「申し込みは
お受け致しますが、後日事務所の賃貸契約書などの書類を
お見せ頂くことがございます。場合によっては口座開設を
お断りすることもございます」とのたまう。
「え?今日口座つくってくれないの?」
「はい、大体2週間後になります」だって。
それを早く言えよ!もう一気に力が抜けたね。

 それにしても「警察からの指導があった」とはいえ、たかだか
銀行口座をつくるだけにこんなご大層な手続きがいるとは、全く
恐れ入谷の鬼子母神。多分2週間の間に、法人の実体があるかどうか
行員が駆り出されるかなんかして足で裏を取るのに違いない。
このデジタル時代に、金に纏わる巧妙なデジタル犯罪対策が、
ものすごく時間のかかるアナログな調査に頼るしかないってところが、
何とも皮肉ではある。

 帰って来てから調べたら、どうも通達が出たのは平成22年の
ことらしい。法人口座をつくったのは、最近でも5年くらい前だから、
ひっかからないで済んだのよね。だがこんなことだと、新しく法人
つくったはいいけど、口座も開けないなんていう事態が起こりかねない。
電脳時代、何事も益々窮屈になるばかりである。



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2013年01月25日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

ポンコツ扉に喝!

 今日の夕方ちょっと近所に買い物に出かけて帰って来て
玄関の鍵を開け、中に入り閉めようとしたら扉がびくとも
動かなくなってしまった。この頃ときどきこんな風になる。

 来訪されたことのある方はご存じの通り、我が家の玄関は
引き戸である。その前は手前に開くドア型だったのだが、母の
介護時に二階に通ずる外階段を内階段に改装したとき、玄関前に
駐車のスペースを確保するため引き戸にした。もうかれこれ
15年ほど前のことだ。

 それだけ使っているのだから調子が悪くなるのも仕方がない。
扉の上部にある凸型の金具が溝から外れやすくなっているのだ。
いつもは夫に直してもらうのだが、生憎外出中。しばらく
扉を開けっぱなしにして待っていたが一向に帰ってこない。
仕方がないので脚立を持ち出して何とか嵌め直した。

 こういう風に何かが壊れたり故障したりすると、つい夫に
頼ってしまうのは長年の癖。電球が切れた、流しがつまった、
地震の後にガスの元栓が切れたetc…それらを元に戻すのは全て
夫の仕事だった。でもそれじゃあ駄目だ。夫とていつまで健在
とも限らない。自分でやれることは自分でやるようにしないと、
一晩中玄関が閉まらないというような事態を招く恐れもある。

 築何十年の風雪に耐えたこの建物も、当然のことながら
あちこち傷んできている。簡単な修理くらいは自分でできないと
住み続けるのも難儀になるかもしれない。どうしても自分では
無理なものは、代金を払ってできる人に頼む才覚も必要だ。

 
 我が家と同じく人間の方も老朽化していく。そのうち脚立にも
上れなくなるかもしれない。人の世話になることも多くなるのだろう。
そうであっても「自分の始末は自分でする」という気概だけは
持ち続けたいもんだ…なんて思いに捉えられ、しばし玄関前に
佇んでいると夫がご帰還。するすると戸を開けて入ってきて、
「どうしたんだ?」と尋ねながら階段を上る背中に、「やっぱ、
人間気概だよね!」と叫んでみた。



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2013年01月18日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

Let's open the window!!

 新年が明けてもう半分以上も過ぎてしまった。
思えば13人分のTATの解析から始まったこの正月、
その後の出張講座、小菅拘置所での面接、CSNでの講座などが
立て続いて、人の心と日々格闘しているような半月間だった。

 昨日は、TATを受検後の職員さんたちを対象とした介護事業所
での第1回目の講座があった。テーマはTATの結果を踏まえて
急遽設定した「防衛機制」。以前NPOのCS講座でも扱ったことが
あるが、今講座では、知識の習得というよりも、当日実施した
エゴグラムテストとの比較なども加えて、各参加者への問題提起と
なることを狙いとした。

 それにしても改めて「防衛機制」をまとめてみると、心というものが、
いかに複雑な装備をめぐらせて自我を守ろうとしているのかを痛感する。
しかもその装備は無意識に張りめぐらされるので、自分では気づかぬ
うちにどんどん複雑に厳重になっていく。気がつけば「心の窓」は
開けようにも開かず、人は否応なく閉じ込められてしまう。

 田舎の一軒家でもなければ、どうしたって戸締りは必要だし、窓に
鍵もかけなければならない。それは心も同じことで、全く防衛なしでは
人の中で暮らしてはいけない。しかし時折は窓を開け放ち、爽やかな
外気を取り込まないと、心の中には濁った空気が充満して心身を脅かす。

 誰にでも他人に隠しておきたいことはあるし、家の中にずかずか
入って来られるのはいやなものだ。いつも窓が開きっ放しでは、
窓を乗り越えて入ってくる人もいるかもしれないから、それは防ぐ必要が
ある。しかし、他人にだけでなく、自分でも見たくない、無いものと
思いたいようなものがある人は、外界のみならず、自分自身に対しても
鍵をかける。窓は二重三重に装備され、見たくないものは奥深くに
押し込められる。

 その窓は他人が開けることはできない。
自分でその装備の概要を把握して、一つづつ丁寧に開けていくしかない。
ロジャーズは「体験に開かれる」という言葉を使った。
外界に通じる窓を開け放つのは、援助職にとっては大事なことであるし、
自分自身の人生にとっても必要不可欠なことだ。
窓が開かないことには、その人はどこにいても閉じられたままだからだ。
これからの講座を通して少しでも「開かずの窓」を減らして欲しい、
そう願っている。


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2013年01月11日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

昨日川中今日桶狭間

 ここ数日間出張講座が続いている。
今日はその中でも最も遠くて最も長時間の講座。
昨年来何回か開催されている「介護ヘルパー再就職支援講座」である。
場所は川崎市多摩区にある川崎市高齢社会福祉総合センター。
初めて行く所だということにに加えて、向丘遊園、百合丘などの
最寄駅からいずれもバスで30〜40分ぐらいはかかるというので、
午前9時からの開始に合わせて7時頃には家を出た。

 心配していたバスが割合順調に走り、それほど迷いもせずに済んで、
8時10分頃には現場に到着してしまった。誰も来ていないのでは
ないかと恐る恐る研修室を覗いてみると、担当の方がもう準備をしていて、
「うわ〜、先生はや〜い!!」と驚かれたが、遅れるよりはなんぼか
マシである。

 ヘルパーさんの「2級取得講座」にはいつも20〜30名の受講生が
いるのだが、この「再就職支援講座」は、既に資格を持っている人たちが
対象なので受講生は7〜8名が常である。今日もメンバーは7名。
こじんまりとしたグループとなったが、それはそれでかなり密度の濃い
内容となる。今日も夕方まで丸一日、何ともハードな講座だった。

 というわけで、今日は本当にくたくたなのである。
先刻やっと家に帰り着いてほっとしたらどっと疲れが出て、
もうブログの文章をひねり出す余力も尽きかけているのである。
まるで一日を戦い抜いて帰還した戦国武将みたいな気分なのである。

 それにしても今年は元旦から今日まで、息つく暇もない「戦闘」の連続。
これで何とか山場は越えたが、まだまだ気は抜けない。
とりあえず今日はこのくらいにしてゆっくり休み、明日からの持久戦に
備えることにしよう。


 
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2013年01月04日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

どうもこうものお正月

  年が明けた。めでたい…のか?
世間的にはそうなんだろうけど、「正月はめでたい」
と思うのは、強固にそうインプリンティングされているからだ…
なんてやたら理屈っぽくなってるのは、元旦から連日
13人分ものTAT検査の解析に予想以上に苦闘しているせいなのか?

 年末は逐語取りに明け暮れ、年始は解析に明け暮れている。
タイムリミットはあと一日。6日にはフィードバックをする約束である。
元旦から一日約12時間。解析づけである。
ただ今この時も真っ只中なのである。
正月にこんなに仕事したのは何年ぶりだろう。

 何も予定がなくだらだらと過ごす正月は大好きなのだが、
余りにもだらだらし過ぎると仕事始めが辛い。
だらだらの快感がだらだらと後を引き、なかなか元に戻らない。
今年はそういう心配はなさそうだ。

 考えてみれば、去年は社会福祉士の試験が控えていたのにも拘わらず、
正月は結構だらだら過ごしてしまい、なかなかペースが戻らなくて後がきつかった。
受験勉強よりは解析作業の方が数段面白く興味深い。
だから正月早々こんなにのめり込めるんだろうけど。

 今年は来週から出張講座やらTAやらの講座が目白押しで、
とてもだらだらムードを引きずれるような感じじゃないので、
年明けをずっと仕事モードで過ごすのは却っていいのかもしれない。

 でもなあ…
今年こんなに頑張ったんだから、来年は京都あたりで解析ならぬ
懐石三昧なんてことに…なるわけないか。
ま、何はともあれごたごた言ってないで一刻を惜しんで進めなくちゃ。
それではどちら様もごめんなすって!



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2012年12月28日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

なんだかんだの年の暮

 怒涛の年末に突入し、今日は早くも28日。
何とか年内に終わらせたい仕事はこなし、形だけでも仕事納め。
夜にはCSNの忘年会がある。毎年のことだけど、年の暮れって
どうしてこう慌ただしいんだろう。

 先日サンプラザ時代の同僚IKと短い旅をしてきた。
久しぶりだったので積もる話に花が咲いたが、相談センター
閉鎖時の話が出たときは、お互いにあの狂騒の日々をまざまざと
思い出し、何とも言えぬ気持ちになった。

 何かが終わるときというのは、どうしてああも
慌ただしいのだろう。刻一刻と近づいてくる終わりのときに
急き立てられて、ゆっくり名残を惜しむゆとりもない。
そしてまた慌ただしく新しい日々が始まる。

 こうして繰り返し迎える始めと終わり。
日々の生活、人との出会い、様々な仕事や遊び、この世で体験する
全ての物事には始めと終わりがあり、それを積み重ねて人生がある。
そして勿論人生にも始めと終わりがある。

 もう始まってしまっている人生の終わりはいつ迎えるのだろう。
やはり年の終わりのように慌ただしいんだろうか。人生で一回だけの
終わりはせめてゆったりと過ごしたいものだが、その前に今年の
終わりを忘年会でゆっくりと味わいたい。そのためには夕方までに
年賀状を書き上げ、郵便局での支払いも済ませ、買い物もして、
あ、そうだ、ブログも早めに書いておかなくちゃ!

 やっぱり何かと慌ただしい…



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2012年12月14日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

シャボン玉飛んだ!

 瞬く間に12月が半分近く過ぎた。
まだまだ一年をつつがなく終えるまでには至っておらず、
カレンダーを睨みながらの日々が続く。

 恐ろしいことに、28日の忘年会まで殆ど休みなしのスケジュール。
そういえば、去年の今頃は痔の手術を控えてやっぱり大変だったなあ…。

 2日後の選挙はどうやら自民党の圧勝らしい。
全く信じらんないけど、これが現実ってもんよね。

 「一体、僕たち皆はどうしちゃったんだい?僕らは
欺されたのか。それとも自分自身を欺しているのか?
僕にはそれが分からない。それだよ、僕にはそれが分からないんだ!」

 「あんたは疲れているのよ」

 「僕は物事を、白だとか黒だとかいうように考えられなくなったんだ。
僕の頭は段々シャボン玉みたいに、ポップコーンみたいになっていく。
そんな状態なんだ、今の僕の状態は─分かる、ママ?沢山のシャボン玉が
だんだんに膨れ上がっていく」

 「いいわ、そんなら!もう何もかもおしまい!もうすべておしまいよ!
人間はただ行ったり来たり、戦争で破壊される。次々に事件が起きる。
人が死ぬ。災害が起こる─すべておしまいよ、それで!哲学?あんたは
哲学だっていうんでしょ?何の意味もないわよ!哲学!分かってるわ!
ああ、そんなもの、何の意味もないわ!絶望─死ぬだけよ!それが
あんたの希望なの?死ぬことが?」

 「僕は─僕には出来ない、駄目だよ、今は、あまりに問題が大きすぎる、
何とかしようにも、あまり、大きすぎるんだ、問題が、僕は、僕には…」

 「死ぬだけよ、あんた死ぬだけよ─なんとかしようとしなければ、
あんたは死ぬだけよ、ロニー、なんとかしようとしなければ、あんたは死ぬだけよ」


 ウェスカー三部作「大麦入りのチキンスープ」の最終場面。
ロニーとその母サラの科白の応酬である。今何となく読み返したくなって
本棚から引っぱり出してきた。

 何か私の頭もポップコーンみたいになっていく。

 「僕の言うことの方が正しい。ママは何につけても正しくなかったんだ。
ママは、皆が幸せになるように望んでる、でも自分流の幸せを押し付けるんだ。
誰に向かっても、イチゴ・クリーム─イチゴ・クリームが好きか嫌いかは
問題にしない。だから見てごらんよ、どうなったか。ママがいつも望んでいた
家庭なんてものもばらばらにくずれちゃった、いつも大切にしていた理想も
眼の前で砕け散ってしまった。なのにママはそれを見ようとしない。ママは
その現実を見つめようとしないんだ。どうやって眼をそむけていられるのか
僕にはわからない、でも、眼をそむけている─ひたすら。ママはどうかしてるよ、
あまり頑迷すぎるよ、一種の精神病だよ!─自分で分からないのかい?
まだ、コミュニストだなんて!」


 シャボン玉がはじけた!


 ※抜粋─アーノルド・ウェスカー著・木村光一訳「ウェスカー三部作」(株)晶文社・1964

 
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