2014年01月11日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

こころのゴミを減らすには

 一昨日は近郊某市のボランティアセンターで講座。
同センターで行われている「高齢者電話訪問事業」に
携わる相談ボランティアさん方への研修講座である。
この講座、毎年お正月明けに開かれるので、ここ
十数年出張の初仕事となっている。

 担当メンバーはほゞ変わらず、講師も変わらず
なので、行けば殆ど同窓会状態。最初の頃はテーマを
決め、レジュメも用意して結構アカデミックに
やっていたのが、段々に自由に話し合うような形に
なっていき、今はもうレジュメに書いてあるのは
講師名だけ。テーマはその日の活発な話し合いから
自ずと浮かび上がってくる。

 今年は冒頭からちょっとヘビーな話題。
いつものように電話をかけたら、その対象の方が
昨年の暮れに亡くなっていたというもの。そうした
ケースはここのところじわじわと増えているという。
勢い「老いと死」を巡る話となった。

 対象者は一人暮らしの方が多く、この「電話訪問」は
安否確認的なところも担っている。しかし前回までは
ずっと元気に応対していた人が、いくら呼んでも出ない
という事態に遭遇すると、どうしても最悪なことを
想像してしまってやきもきする。諦めて電話を切った
後もしばらく気になって仕方がない。

 その他にも段々元気がなくなって、電話は取るのだが
何を話しかけてもずっと沈黙している人、意味不明な
ことを延々と話す認知症気味の人など、どう対応したら
いいのか戸惑うようなケースも多くなっているとのこと。
対応への苦慮が察せられる。

 電話とはいえ、というか電話だからこそということも
あろうが、どれだけニュートラルに余裕をもって
そうしたケースを受け止めるか、というのはかなり難しい
課題である。バイステックの言う「自己の感情の統制」を
要する局面である。ボランティアを長年務めている方々
だからNP旺盛、そして使命感を強めるCPもしっかり。
まずは「自分を緩める」ということが必要なようである。

 そこで「こころの中にあるゴミ箱」の話をした。
対象者の方々は多分ゴミ箱が一杯。だからそれを幾らか
でも受け取ってあげることが支援者の務めとなる。
そのためにはいつも自分のゴミ箱にスペースを空けて
おかなければならない。なるべくゴミが溜まらない
ように、溜まったらできるだけ速やかに処理するように
しようということである。

 「え、どうしたらゴミ減らせるんでしょう?」
とメンバーからの質問。まあそうだよね。そこで
「こころのエコ」のコツを一つ披露。それは「いい人だ
と思われたい!」という情熱を捨てること。これで
ゴミの半分は減らせる。それから自分のゴミは
どんなものかを目を逸らさずに直視し、誰かに
表現して聴いてもらうこと。それにはメンバー相互の
率直な交換がとても役に立つ。

 この講座の後、以前この市で一緒に仕事をしていた
Iさんと会ってランチを食べた。お互いにこころのゴミを
聴き合い、少し軽くなった気分で帰途についた。


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2014年01月04日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

ニューイヤーズブルー

 皆さま、明けましておめでとうございます。
今年もよろしく…なんて言ってる間に3が日が過ぎ、
オフタイムもあと僅か。そろそろ仕事モードに
切り替えなくちゃね。

 さて今年のお正月は、年末年始に撮りためた
TV番組をまとめてだらだらと観たのだが、それが
殆ど夫に頼まれて録画した「相棒」の再放送シリーズ。
このシリーズ、結構面白くて私も好きなのだが、
そのなかに、話題作と言われたらしい「ボーダーライン」
があって、それ観たら、元旦早々ブルーな気持ちに
陥ってしまったのだった。

 ご覧になった方もおられるかと思うが、ざっと
粗筋を記すと、それは一人の若者が刃物で傷つけられ
ビルから転落死した殺人事件から始まる。お馴染み
杉下右京警部とその相棒の神部尊警部補が、その若者の
死までの足跡を辿る。

 彼は就職氷河期世代の35才。
派遣労働を余儀なくされ、何回も契約切りや解雇に遭い、
アパートも引き払う羽目になる。兄に頼ろうとするが
「自分の家族で精一杯」と断られたうえ、「もっと
しっかりしろ!」と叱咤される。結婚を約束していた
恋人にも愛想をつかされ、悪質な日雇労働で搾取され、
一生懸命勉強してとった医療保険事務の資格も
未経験では職には就けない。

 役所に行き、生活保護を申請しようとするが
「65才以下の人はダメ」とか「扶養可能な親族が
いるとダメ」とか言われて「若いんだからがんばって」
と追い返されてしまう。ここの場面何ともリアル。

 違法な名義貸しに手を染め、やり過ぎてそれも
行き詰まり、ネットカフェを根城にスーパーや
商店街の試食でやっと生き延びていた青年だったが、
自分が出た後ずっと空き部屋だったアパートに
入居者が来たのを知る。そこを住所にして何とか
仕事を探していた彼は、もうそれもできなくなった
ことに絶望する。彼は医療保険の教科書で勉強した
知識をもとに、他人に刃物で傷づけられたように装い
身を投げて死んだのである。

 最終場面、一部始終を青年の兄に話して
右京さんは言う。「彼は社会に殺されたのです」
殺人事件の犯人は「社会」だった?!
刑事ドラマの結末としてはかなり異色。
観た後の気分も異色。

 この気分に追い打ちをかけたのが、またもや「相棒」。
これは録画じゃなくて、1日放送の新年特別版。
これがまた、ひとり親世帯の補助金引き下げと
「就労センター」設立のために企まれた「福祉衛生省」
による意識調査のデータ改ざんと、そのデータを掴んだ
ジャーナリストに絡んだ殺人事件の話。
またもやその終盤、中村橋之介扮する犯人、役人上がりの
エリート公安部長が右京さんの取り調べで言い放つ。

「いくら弱者を救ったって何ら国益には貢献しない。
それを助長しようとする奴らは国家にとって悪だ!」
右京さんも負けない気迫で言い返す。「誰のための
国家か。そんなことを言うあなたの方が悪だ!」と。

 このやりとりにまざまざとこみあげるあのときの
あの怒り。忘れもしないサンプラザ相談センター
閉鎖が国会の決議を通ったその日。「何とかして!」と
詰め寄る私たちカウンセラーに、厚労省上がりの理事が
言い放ったあの言葉。「あいつら(来談者)は国家の
クズだ。そんな奴らのために何もすることはない!」

 折しも今年は「困窮者支援自立支援法」に基づく
相談支援のモデル事業が次々と立ち上がることが
予想されている。ドラマじゃないんだからまさか
データの改ざんはないだろうが、それに類することは
あるかもしれないし、政治家や役人には多かれ少なかれ
「弱者」に対する「クズ意識」はあるのだろう。

 新年早々何とも重い気分が胸にこもる。
こんなドラマを観てしまうというのも何かの因縁か。
いやいや、こういう風にある種の共感に嵌るのは
私の悪いくせかもしれない。今年は例年に増して
自分の目と考えを明確にしておけということだろう。
気が抜けない一年になりそうである。



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2013年12月28日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

‘Tommorow is another day!’

 いよいよ年も押し詰まり、今年もあと3日。
毎年この時期やること満載。
そこで毎日動き回る。

 手帳買った。
 カレンダー買った。
 放大の学生証も作りに行った。

 栗きんとんに使う栗買った。
 烏賊人参のスルメ買った。
 シクラメンの鉢植え買った。

 賀状出した。
 請求書出した。
 銀行に並んで振込み済ませた。

 毎日カウンセリングした。
 ビデオテープをBDにダビングした。
 久々に‘風とともに去りぬ’を観た。
 お向かいのカフェで今年最後のランチ食べた。

 冷蔵庫の掃除した。
 だけど部屋の掃除はこれから。
 仕事スペースの大掃除は明日。
 食料品の買い出しは明後日。

 何をしようとするまいと時は経つ。
動き回ろうが寝てようが年は明ける。
荒野に一人佇む我らがスカーレットの独白の如く、
そう…明日は明日の風が吹く!

 何はともあれ、皆さまご無事でよいお年を!!


 
 
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2013年12月21日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

「スキーマ」あるいは「脚本」あるいは「リビドー」

 「スキーマ」とは、認知行動療法の重要概念の
一つで、その人のこころの深層に根深く存在する
偏った信念のようなものであり、「中核信念」とも
呼ばれている。放大大学院のテキスト「臨床心理学
特論」では、スキーマについて以下のように概説
している。

 「スキーマはその人の基本的な人生観や人間観
であり、生得的要因と環境的要因の影響を受け
ながらそれまでに体験した事柄に基づいて形成され、
気づかれないまま心の底に存在している個人的な
思い込みである。人は幼少期のうちに世界や自分に
ついての基本的な考え方、スキーマ、中核信念を
もつようになる。」


 これを読んで気づく人は気づくと思うのだが、
この概念、交流分析でいうところの「脚本」の概念と
実によく似ている。そういう視点からみると「交流分析」
における脚本の理論と「認知行動療法」の理論とは、
かなり相似しているのだ。認知、感情、行動の3つを
きちんと分けて考え、関連づけるところもそっくり
である。

 相違点は「分析」をするか、しないかという
ところである。交流分析はその名が表わす通り
「精神分析」の流れを汲む理論である。「自我状態」
「対人交流」「脚本」の分析3本柱から成る。それが
どうやってどのように成立しているのかを子細に
分析するところは、誠に精神分析的である。

 これに対して「認知行動療法」は一切分析を
行わない。現状の症状から解決するべき問題を
見つけ出し、具体的な方法を見つけていく。
「スキーマ」を探り当てることに力を尽くすが、
それがどうつくられてきたかは取り上げず、専ら
それをどうやって変容させるかに焦点を当てていく。
勢い、セッションはワークやトレーニングで
埋められる。ホームワークと呼ばれる宿題も必須
である。

 「脚本」については、禁止令やドライバー
などの仕組みを分析し、自分の脚本の成り立ちを
理解することに重点を置く。そのうえで「脚本」
を変化させるのではなく、「行動」を変化させる
ことで「脚本からの脱却」を目指すわけである。

 「脚本」と「スキーマ」とは、ともにアメリカ
生まれの兄弟なのであろう。そしてこの兄弟には、
ヨーローッパ生まれの「リビドー」という兄貴が
いる。かのフロイト大先生が提唱した、無意識に
存在する欲求や衝動のことである。

 この3者に共通しているのは、「人間の心の深奥
には、容易には変容しがたい強固な何かが根を張って
いる」ということから生まれた概念だ、ということで
ある。主張する理論や療法に違いがあっても、「こころ」
というものに対する見方はさほど変わらないということ
である。いずれにせよ、人の心というのはなかなか
度し難いものだ、ということは確かであるようだ。



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2013年12月14日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

アクティング・アウト

 アクティング・アウトとは、精神分析の用語で
心理治療中に生ずるクライアントの心的抵抗や葛藤が
治療場面の外での行動となって表れることで、「行動化」
と訳される。無意識にある真実の欲求を暴かれまいとする
クライアントの「治療抵抗」の一つとされている。

 カウンセリングの無断キャンセルや遅刻をはじめ、
家族への暴力、あるいは自傷行為などその表れ方は
さまざまであるが、いずれも治療構造を脅かす威力を
潜ませている。カウンセラーとの間の転移・逆転移が
深く関与しているとみられ、治療者がその意味を
的確にとらえることができれば、治療の手がかりに
なり得るとも言われている。

 「行動化」と同じような意味をもつ現象に「身体化」
がある。抵抗が身体の症状となって表れるタイプである。
いずれも当人には意味がつかまえにくいものなので、
治療者の適切な介入が必要とされる。

 もう少し広い意味でのアクティング・アウトは、
治療場面にかぎらず、日常生活のなかでもみられる。
衝動的に高価な買い物をしてしまったり、誰かを
怒鳴りつけてしまったり、突然会社を辞めてしまう
といったようなことである。その行動の背後に
潜むものをじっくりと分析してみれば、何らかの
無意識的な欲求不満や葛藤が見出されるはずである。

 急な胃痛や発熱、吹き出物や湿疹などの「身体化」も
広い意味では、アクティング・アウトと言えるかもしれない。
無意識の抵抗が行動に出るか、身体に出るかは、その人の
状況、性格、防衛傾向などによって違ってくるようにも
思える。

 先日放大大学院の放送授業を聴いていたら「精神分析的
カウンセリング」のところで「アクティング・アウト」に
ついての解説をしていた。上記のような狭義と広義での
意味があるとしたうえで、その最後に担当教授が
「『人生最大のアクティング・アウトは結婚である』と
いうような言い方をしている人もいます」と紹介していた。
ん〜、ほんと、そうかもねえ…



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2013年12月07日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

「困窮者自立支援法」成立

 昨日の夜は、ランスタッド社で「就労支援勉強会」
があった。そして奇しくもその5時間ほど前に「困窮者
自立支援法」が成立した。と同時に「改正生活保護法」も
成立した。「秘密保護法」の騒動に紛れて、あっさりと
可決された。

 いかなる法律であろうと賛否両論がある。
秘密保護法ばりに大きくはないにしても、勿論「支援法」
にもある。最も懸念されているのが、「生活保護申請の
水際作戦に利用されるのではないか」ということ。
確かにありえないことではない。

 しかし、だからこんな法律はない方がいいのかといえば、
そうでもない。この制度が「第2のセーフティーネット」に
なるかどうかは、現場次第ではないのかと私は思う。
支援の現場が「水際作戦」に加担しなければいいのだから。

 今回の勉強会は割合こじんまりしたものを想定していた
のだが、予想に反して20名近くの方々が足を運んでくれた。
実際の事業は、国から地方自治体へ、そして民間団体などに
委託されていく。たとえ行政側の思惑が込められた法案で
あろうと、支援は国や行政のためではなく、眼の前にいる人の
抱えているニーズに対して行われる。これは支援の鉄則だ。
現場で国や行政の事情を優先させるような援助者なら、多分
早晩に淘汰されてしまうだろう。

 恐るべきは国や行政の方針そのものではなく、
それに追従するのをよしとする援助者自身の価値観である。
今後の勉強会ではそのあたりに焦点を当てていきたい。
現場に「骨と熱のある援助者」が一人でも多くいて欲しい。
そして支援を「眼の前の人」にとって実のあるものに
して欲しい。いよいよ動き出した支援法を前にして、
その願いを胸に刻み、新たな現場づくりに取り組みたいと
思っている。


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2013年12月02日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

「就労支援勉強会」へのお誘い

CSNのホームページにも掲載しているが、
来る12月6日(金)の18:30〜20:30にランスタッド社
主催の「就労支援勉強会」が開催される。
平成27年の「困窮者自立支援法」施行を控え、
支援のあり方や、求められる人材について
考えていこうという趣旨である。
相談支援や就労支援に興味のある方、その分野で
働いてみたいという方、是非ご参集あれ!!

 詳細はこちら↓

http://www.npocsn.jp/event-lanstad131206.pdf
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