2008年05月23日


ひろみん <臨床検査技師・ひろみんのラブ&ピース>

「勿体ない」

菓子パンが半切れ。食卓に乗っていた。
うぐいす豆、金時豆の混ざった生地にカスタードクリーム入り。
甘そう〜!きっと夫が半分食べて、あまりに甘いので残したのだろうと思った。

そして次の日の朝、夫が半切れのパンを持って「勿体ないから食べよう。」
と言い、パンを食べようとした。尽かさず私は「無理に食べないで、トースト
でも食べたら?」と勧めた。

すると夫が怪訝な顔をしながら「いいよ〜。食べるから〜。」という。
私も変だな?と思いながら「食べたくない物を朝から無理して食べると気分が悪
くない?」と問い直した。

夫はキョトンとして「美味しいパンなのに誰も食べないなんて勿体ないと言った
んだよ。昨日、全部食べないで半分残したのは、わざとだよ。中国の人も言って
いたけど美味しいものは全部食べてしまわないで腹八分目にして、勿体ないから
残しておいて後で改めて食べるのがいいって。」

えっ!なに?勿体ないって、そんな意味で使うんだっけ?
思いも因らない夫の話に私は辞書を引いた。
 @使わないでむだにされるのが惜しい。「すてるのは・・」
 Aおそれおおい。分に過ぎて恐縮してしまうほどありがたい。

う〜ん。微妙。「勿体ない」の使い方が二通りあるのは知っていたけど・・。

夫曰く「相変わらず思いこみが酷いな。」
さらに話は別のところに飛んでしまった。出勤前の忙しい時間にも関わらず。

私の実母は度々「勿体ない。勿体ない。」といいながら物を捨てる事なく大事に
し、家の中は無駄な物を置かず常に整理整頓されている。真面目で堅苦しい。
そして、何といっても心配性で有りもしない事を想像しては心配し、悩んでいる。
行動パターンはイライラセカセカと忙しい。

夫の母親は「勿体ない。勿体ない。」といいながら近所の人から色々貰ってくる。
私の実母と違い、楽天家でいつも笑いが絶えない。そのお陰で年中、物を貰ったり
、あげたりして、いらない物まで断れず家に持ち込んでしまう。
その結果、物が捨てられず、寝る場所が狭いと言ってはケセラケセラと笑う。
行動パターンはニコニコユラユラとマイペース。

両極端の実母と義母を比較しながら、私と夫に置き換えると嫌だ嫌だと言いなが
ら各々、両母親の気質を受け継いでいる。全く違う気質がベースにあるおかげで、
結婚当初は水面下での喧嘩が多く、何故お互いの感情がすれ違うのか理由が分か
らなかった。

二人の子供がまだ幼い頃、働いていた私は義母と同居して二人の子供の面倒を見
てもらった事がある。最初のうちは義母のお陰で、子供の事を心配せずに仕事に
専念できる事を義母に感謝していた。しかし次第にすれ違い始めた。お互いの我
が儘が出始めたのである。TAでいうCの部分がむき出しになり、怒りに変わって行
った。先の見えないCの出し合いに自分自身が限界に達した時、退職を決意し、義
母との同居を止めた。その後、義母が可愛い孫と別れて暮らす事が悲しくて日々、
涙していた事を他人を界して聞いた。本当に申し訳なかったと思う。

子供が成長して、今思う事は5年という義母との同居は私にとっても子供達にとっ
ても貴重で有りがたく、勿体ない日々であったという感謝の思いである。

義母との同居の5年間、実母に対する甘えの不足や抑圧の感情を義母と生活する事
で解消しようとしていたのだろう。義母は甘える私を表面上は怒らなかった。しか
し、懐疑的な私は、それに苛立った。むしろ怒ってくれればいいのに・・・と。

人と接する事で自分の嫌で醜悪な部分が浮き彫りになってしまう。自分は優しくて
思いやり深くて、いい人間なんだから、悪いのは相手だと思いたい。しかし、そう
ではない事を自分自身で解かっている。

最近は生活の基盤である家庭において、もう一度掘り下げて、それぞれの人間性を深
く洞察してみようと思う。妻として母親として、また一人の人間として見過ごしてき
た事が多いに違いない。

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posted by CSNメンバー at 18:36 | Comment(0) | TrackBack(0)
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