初年度の養成講座では、カウンセリングの諸理論を概観し、そのなかでCRP(試行カウンセリング)を行い、理論と実践の結びつきを模索しました。また「フォーカシング」についても学び、実習を行いました。2年目は、「マイクロカウンセリング」の技法を学び、その都度の実習とCRPによって、より確実に身につけることを目指しました。その他にもサイコドラマや構成的エンカウンターグループ、職業検査の実習など幅広い学習で実力を養いました。
しかし残念ながら、初年度から勉強し続けてきた受講生のなかからはまだ当NPOの「キャリアサポーター」として認定できる人は出ていません。別に出し惜しみしているわけではないのですが、認定した人には希望があれば今後NPOで活動してもらうつもりなので、いい加減なところで認定してしまうわけにはいかないという思いがあります。今年は外部で勉強してきたという受講生も交え、今のところ4名の小グループですが、お互いに切磋琢磨して認定を獲得して欲しいと願っています。
先日の初回の講座では、オリエンテーションの後、各受講生が自己紹介をしながらその豊富や思いを自由に語ってもらう時間をとりました。初めての講師に加え、受講生同士でも初対面の人もおり、皆幾分緊張気味でしたが、それぞれの意欲は十分伝わってきました。今回もCRPを行うことになり、その組み合わせも決まりました。面倒な逐語記録やレポート作成にあえて挑もうとする受講生諸氏の熱意を頼もしく感じました。
高瀬講師の講義では、ロジャースの「カウンセラーの必要にして十分な3つの条件」の一つである「自己一致」を取り上げました。その過程に、「カウンセラーが自身の内に生起した言葉になる前の感情をとらえる」というのがあります。レジュメにある小谷英文氏の論文では「フェルトミーニング」となっていますが、これはまさにフォーカシングでいうところの「フェルトセンス」ですね。小谷氏はその感情への「焦点づけ」として、「2〜3分、あるいはそれ以上の自己への注目による焦点化」と説明していますが、これもフォーカシングの過程と同じです。ロジャーズの療法とジェンドリンのフォーカシングの深い関係がここにも表れていますね。
因みに私もカウンセリングのなかでフォーカシングをたびたび使います。フォーカシングを学んだときは、カウンセリングそのものの技法としては使いづらい感じがしたのですが、ケースを担当するようになって、カウンセラーの感情に気づくことや、それに巻き込まれずにいることのためにはとても有効であることを実感しました。講座の中では、私の体験についても少し話をしました。
その次の過程である「クライアントへの伝達」については、私の場合はもう出てくる言葉が身体化している感じで、余り考えて伝えるということはありません。「身体化した言葉」というのは、頭で考えた言葉より数倍伝わりやすく、また大きく間違えることはないのですが、いつもぴったり的確であるというわけにはいかず、たまに失敗してしまうこともあります。そんな失敗ついても講座のなかで話しました。
小谷論文のなかでは「個人的(主観的)文脈の中で、押しつけにならない、すっきりした平明さをもって、表明される」とありますが、これはなかなか難しいことだと思いました。私の場合だと、「押しつけにならない、すっきりした平明さ」を保つために、どうしても「個人的文脈」をいくらかそれてしまうことがあります。ということは、私は自分が思っている以上に「個人的文脈」を抑制しているんじゃなかろうかと思い、「客観的でありながら主観的であれ」というようなこの命題をカウンセリング場面のなかでどう生きるか、ということが、改めて自分の課題として浮かび上がってくるのを感じました。
というわけで、現役カウンセラーにとっても大いに勉強になるこの講座、1回目が終わったばかりの今ならまだ間に合います。あと1〜2名の参加は可能ですので、もっとカウンセリングの力をつけたいと思っていらっしゃる方は是非参加してください。お待ちしています。(あら、最後は宣伝になっちゃった!? )でも本当ですよ!
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