2007年12月03日


かなりん <カウンセラーかなりんの遊々随想>

ドラマの効用

 昨日のブログでA子さんが「サイコドラマ」の実習体験に触れていますが、「あまりうまくいかなかった」と感じているようです。そして「まだまだ見たくないことがいっぱいあるなー。。。」と書いています。でも「見たくないことがいっぱいある」ことに改めて気づいたのは一つの収穫ですし、「うまくいかなかった」のなら、自分にとって「うまくいく」というイメージはどういうものかを探る手がかりにもなるでしょう。

 今回のサイコドラマは、「キャリアサポーター養成講座」の一環として行ったものなので、受講生の皆さんには「内面の問題をドラマで扱う」ということはどういう意味があるのか、ということを深く感じてもらうことを主眼としていました。一般からの参加は募らなかったので、ちょっと参加者が少なかったきらいはありますが、他のメンバーに自分の役をやってもらって、客観的に状況を俯瞰することができたのではないでしょうか。

 「ドラマ」の持つ非日常性と、そこに生まれるある種の高揚感は欠かせぬ要素なのですが、私は「曲者」でもあると思っています。「ドラマ」は「虚構の世界」であることは確かなのですが、それが全く現実につながっていなければ、単なる独りよがりになってしまいます。これが劇場でやる「演劇」であるならば、観客をひと時の夢に酔わせる、というのもありでしょうが、サイコドラマにはそれとは違った意味合いがあると思います。

 グループがカリスマ的なファシリテーターによって「集団カタルシス」のような状態になることが好ましいことではないように、「内面への気づき」や「創造的な人間関係」を得ることを目的としたサイコドラマが、過剰なカタルシスに彩られるのは避けたほうがいいと考えます。カタルシスは一歩間違えると非常に喜劇的になってしまいがちだからです。A子さんがあえて自分の役を他のメンバーにやってもらったのは、そういう余計なものを排するという意味では良い選択だったのではないかと思います。

 「ドラマ」を使ったワークでは必ず事前に参加者の緊張をほぐすようなゲームを入れるのが常ですが、昨日は十分関係のできているメンバーのみの参加だったので割愛して、代わりに少しエンカウンター風の話合いをしました。「ドラマ」の進行も現実的な状況を踏まえて、「結末」はA子さん本人に任せました。苦い現実をどうにかしていくエネルギーは彼女自身のなかに必ず存在するからです。それを阻むものは何か、それもまたA子さんが直面するしかないものです。そのことを実感し、スッキリとはしない思いを抱えていくことも、「キャリアサポーター」をめざすA子さんには必要なことだと思います。

blogranking.gif

ブログランキング・にほんブログ村へ

↑ブログを読んだらクリックしてね! 
posted by CSNメンバー at 18:11 | Comment(1) | TrackBack(0)
この記事へのコメント
はじめまして。
ブログ応援サイトのファイブスタイルです。

12月より10の求人ジャンルを投稿・検索
閲覧できる5infoがファイブスタイルのコンテンツに
新しく加わりました。
さまざまな告知にご利用ください。

是非、訪問していただければと思います。

最後になりましたが、不快に思われた方、および
既にご案内を受けた方にはお詫び申し上げます。

ファイブスタイル
http://www.fivestyle.biz
Posted by kitajima at 2007年12月03日 22:37
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック