



慣れない訓練に受講生の面々は四苦八苦。しかし初めてやってみて「とても楽しかった」という感想が口々に聞かれました。
学生時代に演劇をやっていたせいか、私は演劇とグループワークにはかなり通ずるものがあると思っています。「ドラマセラピー」や「サイコドラマ」など演劇的要素を使ったグループワークも多く、「演じる」ことで気づくことや吹っ切れることは結構あります。それに「カウンセリング」そのものが「演じる」ということでもあると私は思っています。
「演じる」という言葉は、「真実を隠したり取り繕う」というような意味合いで使われることが多いのですが、本当に「演じる」というのはそんな生やさしいものではありません。それは少しでも演劇をかじったことのある人なら痛感するところだと思います。プロの役者はいわば「命がけで」演じているし、何をどう演じようとそれを演じている自分はなくなりはしません。
いつもカウンセリングルームは私の舞台です。「全存在をかけて」私はそこにいます。主役はクライアントさんです。私は共演者であり演出家であり舞台監督です。1時間の舞台は決してやり直しはききません。観客も自分自身です。冷静に舞台を見つめる目を要求されます。
グループは「みんなで作り上げていくもの」ということではより演劇に近い感じがあります。ファシリテーターは時には演出家になり、役者になり、そして黒子にもなります。これらの術を自在に使える人材が育つことを願って、今後もこうした「演劇的トレーニング」を続けていくことを企画しています。