なった。「臨床心理学特論」という分厚いテキストが
届いたので、今せっせと読んでいる。
今日は「ライフサイクル論」を読んだ。
「ライフサイクル」といえば、すぐ思い浮かぶのは、
エリクソン,E.H.である。
かの「アイデンティティ(自我同一性)」という言葉を
つくった御仁であり、人生を8段階に分けたなかで、
とりわけ「青年期」の危機に重点を置いたことで知られる。
勿論フロイト,S.もはずせない。
彼は特に「幼児期」に注目した。
誕生からの精神的発達段階を、「口唇期」とか「肛門期」
とか「男根期」とか、性を暗示する名前をつけ、その時期に
未解決の問題があることを「固着」と呼び、その後の性格や
病的症状の生起に関係があるという理論を展開した。
口唇期性格は甘えん坊で依存的、要求がましく落ち込みや
癇癪を生じやすい、肛門期性格は過度の几帳面、潔癖、頑固、
倹約、吝嗇…なんて、「あら、思い当たるとこあるじゃん」と
一人でにんまり。
次にフロイトと並ぶ巨匠、ユング,C.G.の名も挙がっている。
何と彼が最も重要視したのは「中年期」。彼はこの時期を
「人生の午後」と呼び、「午前から午後に踏み出すときは、
午前に属するものから脱皮しなければならない」と述べて
いる。西欧文明におけるこの期の人々の示す「嘆かわしい
疑似青年ぶり」に言及、東アフリカの部族に残る「通過儀礼」
の慣習と、その後の人格的成熟に敬意を表しているところは
いかにもユングらしい。
「人生の午後」に折り返す節目のポイントを、ユングは
「人生の正午」と呼んだ。年齢にすれば35歳〜40歳、自我を確立し、
社会的地位を築き上げた人生の正午に立ち、人は今まで自分が
無視してきた側面気づき、新たな葛藤と苦悩に直面して
中年の危機を迎える。しかしそれを克服していく過程こそ、
彼の言う「個性化」のプロセスだ。「中年期こそ真の自己実現が
なされる時期だ」とユングは言う。
ユング自身も、それまで30代を共に過ごしたフロイトと
38歳で決別、それから6年間は深刻な心理的危機に陥ったと
いう。苦しみながらも彼はそれを克服して、今日のユング
心理学の楚を築き上げた。これぞまさに彼の「個性化」の
プロセスだったのだろう。
因みにユングが「人生の正午」とした年齢は、日本の
男女の厄年(女33歳、男42歳)とほゞ一致する。節目の
年齢はどこでも同じってことか。とはいえ正午になっても
一向に折り返せない「疑似青年」も増える一方だ。
ユングが見たら「何たること!」と嘆くかもしれない。
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