2013年05月30日


405 <七色仮面の告白日記>

隣の正面だ〜れ

ドスンドスンと、
隣から音が響きだしたのはこの1ヶ月ほど。
音の質から、かかとから強く踏みこむ歩き方だろう。

経験上隣から聞こえてくる音というのは、
扉の開閉やテレビの音、話し声といった生活音が多い。
逆に足音は階上、あるいは下から響いてくる。
そう思ってきたせいか、
隣から足音という不測の響きは相当耳障りなのだ。

隣人は、私より後に入居をした。
いまどきの賃貸では入居時に上下両隣への挨拶はないらしく、
どんな人なのかわからずにいた。

歩き方から推測すると、一人暮らしで体格のいい男性だ。
そう考えてある日隣人が外出するのを見計らって、
部屋の窓から覗いてみたら女性だった。

女性がかかとから強く踏む歩き方ということは、
ひょっとしたら足が悪いのかもしれない。
しかし響く音は、意識しているだけ日に日にひどくなっていた。

たまりかねて一階に住む大家を訪ねてこの件を話すと、
なんと大家のご子息夫婦が住んでいるということがわかった。

大家いわく、その夫婦は近くの広めのマンションに住んでいたが、
諸事情により住めなくなり、
空いていた私の隣の部屋を使わせることにしたそうだ。

しかし足音については、
「賃貸をしている親の元で育ったから、
他の入居者なら配慮することに気が回らないのだろう」という、
私には理解しがたい親バカっぷりを聞くこととなった。
ともあれ、事情がわかると一気に胸のつかえが取れていくのを感じた。

私も生活音を出しているので、とやかく言えるものではない。
しかし足音の件だけでなく大家の家族なら越してきた時点で、
ひと言挨拶があってもいいだろうにと、私の価値観はささやいている。

それは音自体への不快だけなく、
正体のわからない音への緊張があるからなのだ。

blogranking.gif

ブログランキング・にほんブログ村へ
posted by CSNメンバー at 21:30 | Comment(0) | TrackBack(0)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック