玄関の鍵を開け、中に入り閉めようとしたら扉がびくとも
動かなくなってしまった。この頃ときどきこんな風になる。
来訪されたことのある方はご存じの通り、我が家の玄関は
引き戸である。その前は手前に開くドア型だったのだが、母の
介護時に二階に通ずる外階段を内階段に改装したとき、玄関前に
駐車のスペースを確保するため引き戸にした。もうかれこれ
15年ほど前のことだ。
それだけ使っているのだから調子が悪くなるのも仕方がない。
扉の上部にある凸型の金具が溝から外れやすくなっているのだ。
いつもは夫に直してもらうのだが、生憎外出中。しばらく
扉を開けっぱなしにして待っていたが一向に帰ってこない。
仕方がないので脚立を持ち出して何とか嵌め直した。
こういう風に何かが壊れたり故障したりすると、つい夫に
頼ってしまうのは長年の癖。電球が切れた、流しがつまった、
地震の後にガスの元栓が切れたetc…それらを元に戻すのは全て
夫の仕事だった。でもそれじゃあ駄目だ。夫とていつまで健在
とも限らない。自分でやれることは自分でやるようにしないと、
一晩中玄関が閉まらないというような事態を招く恐れもある。
築何十年の風雪に耐えたこの建物も、当然のことながら
あちこち傷んできている。簡単な修理くらいは自分でできないと
住み続けるのも難儀になるかもしれない。どうしても自分では
無理なものは、代金を払ってできる人に頼む才覚も必要だ。
我が家と同じく人間の方も老朽化していく。そのうち脚立にも
上れなくなるかもしれない。人の世話になることも多くなるのだろう。
そうであっても「自分の始末は自分でする」という気概だけは
持ち続けたいもんだ…なんて思いに捉えられ、しばし玄関前に
佇んでいると夫がご帰還。するすると戸を開けて入ってきて、
「どうしたんだ?」と尋ねながら階段を上る背中に、「やっぱ、
人間気概だよね!」と叫んでみた。
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