とあるニュース絡みで、彼の住む川崎のことが流れ、
なんとなく思い出してしまった。
「元気?」とメールするほど気さくな関係でもなく、
「どうしてる?」と気にかけるほどでもない。
どちらかといえば、何を話していいのかわからないのが、
本当のところ。
あれから何か月、まだ何か月なのに。
彼に対して何を話していいのかわからないほど、
あのときほどの恋熱も切ない感情もなければ、
関心自体なくなっているのだろうか。
話したいけどガマンしたこと。
二人で行った街を通り過ぎると、思い出がよみがえること。
川崎という地名に妙な緊張が走ったこと。
つくづく、私は不器用だ。
不器用ながらの日々で、好きという思いが時間とともに薄らぐ過程は、
こんなにもはかなく、うつろいやすいんだなと。
野方の彼を思っていたときほど、川崎の彼にうなされなかったのは、
日常では救いではあるが、恋の情熱加減でいえばなにか物足りない。
物足りないながらも、川崎と聞いただけで彼を連想してしまうのは、
やっぱり好きだったからだ。
きっとメールすれば、返事はくれると思う。
でも、しない。
報われなかったからといって、
それくらいの自信過剰は、あってもいいよね。