コメント欄で返そうと思ったのですが、長くなってしまったのと、
コメント欄ではリンクができないみたいなので、記事欄に投稿する
ことにしました。
お読み頂ければ幸いです。
私が訪問支援に興味をもったのは、福生の自立援助センターに入所して
可能性を開いていった事例が身近にあったからです。引きこもり支援の
難しさはいやというほど感じていましたので、その手法を体験してみたいと
思っていたところに、ちょうど東京都から訪問支援員要請講座の案内がきて、
大変そうではあったのですが男Nと二人でやってみることにしました。
講義も面白かったのですが、何と言っても刺激的だったのは合宿でした。
以前にブログに書きましたのでお読みになっているかもしれませんが、
その様子はこちらとかこちらとかをご覧ください。
講義ですごかったのは、佐賀県で思春期の子どもたちの訪問支援をしている
若い男性で、本人は淡々としているのですが、やっていることはまさに命を
削っているとしか思えないことばかり。身を賭して子どもたちとの関係を
築いていく様子は、鳥肌ものでした。
福生の工藤理事長はちょっと見こわもてで、何故だか気に入られたらしい
男Nは最初はびびっていましたが、研修が終わる頃は結構なついていました。
何億もの私財を投入して何十年も支援を続けているその姿勢や、実際の
センターの様子を見て肝の据わり方が違うと思いました。彼の原点には
70年代の学生運動があるらしく、私に「ところであなたは何派だったの?」
とか聞いてました。
今回事業説明をした援助センターのKさんは、理事長の後継者と目されて
いる人ですが、彼も昔は引きこもりだったといいます。彼ともう少し若い職員の
Kさんと二人について訪問支援も体験しましたが、この若い方のKさんも独特の
雰囲気をもった人で、引きこもっている人の部屋の扉に向かって優しく根気よく
話しかけるさまは、こんなこと誰にでもできるもんじゃないと思わせるものでした。
私がたまたま知った事例の引きこもりの青年が自立していく過程にも、恐らく
職員である彼との関係が深く関わっていたのだと思います。ここには書けませんが、
そう推測させるエピソードを双方から耳にしました。
確かに訪問支援は難しい。今のところ手がけている団体は全国でもごく僅かで
しょう。私もおいそれとやろうなどとは思いません。それに「ニート、引きこもりの
話題性に乗って金儲けをしている」というような言い方もよくされます。
でも実際はそんなに甘くはありません。行政からの金が出たのもやっとここ数年の
話です。それも3ヶ月とか半端な補助金でしかなく、そんな短期間で効果など上がる
わけもありません。受託した団体はどこも本当に苦戦していたと聞きます。
それでも仕掛け人の工藤氏は、「たとえ短期間であろうと行政から金を出させた
ことに意味がある」と言っていました。引きこもりの人たちが全く相手にされなかった
何十年も前から、補助金など何もなくやってきた彼からすれば、本当にそういう感慨が
あったのでしょう。だからあの研修から3年後の今、とにかく1年でも行政が金を出し、
支援団体を募る姿勢を見せたことは、工藤氏たちの働きかけがまた一歩前進したことを
示しています。そういう風に思うと、身の程も忘れて手を上げたい気持ちになります。
サンプラザの閉鎖のとき、私たちカウンセラーの反発に腹を立てた理事が、
クライアントさんたちを「国家のクズ」と言い放ちました。あのときの悔しさと怒りは
まだ私の胸中に生きています。
かなりんより