2010年03月12日


ひろみん <臨床検査技師・ひろみんのラブ&ピース>

脳梗塞とアルテプラーゼ

疲れて、身体が思う様に動かない。家事が進まない。
月曜日は元気一杯だった。
火曜日は大雪の中、野暮用にて夜遅くまで外出したが、まだ余力は十分残っていた。
しかし水曜日に予想外の問題が発生し、その日から生活のリズムが突如、狂い始めた。

水曜日の午後、義理の弟が脳梗塞で都内の緊急病院に運ばれた。
まだ40代で前兆は何も無かったという。

今年に入って、偶々、夫と義弟は同じビル内で仕事をしていた。
その日は二人で昼食を終え、それぞれ担当階に帰って仕事を始めたという。
そして、数分後「兄貴、トイレに連れて行って。」と、メールが夫に届いた。

夫は何をふざけた事を言っているんだ?と思いながら下の階に降りた。
すると義弟は床に座り込んでいて、既に左半身が麻痺状態だった。
担いでトイレに連れて行った後、義弟は気分が良くなったから近くの病院に、連れて行
ってと夫に頼んだ。

しかし夫は、異常な状態に救急車を呼んだ。
この判断は、非常に的確な判断だった。脳の梗塞が始まって45分位で点滴による緊急処置
が行われた。アルテプラーゼ血栓溶解療法だった。

この療法は平成17年10月に日本で認可されたものだった。アルテプラーゼという血栓溶解薬
を使って、脳梗塞急性期につまった血管を再開通させるというもの。静脈注射で簡単に投与。
この薬を投与して有効なのは、発症3時間以内。他にも余病、年齢、血圧など条件が揃わない
と使えない。発症患者の約4%前後の使用率。

不幸中の幸いだった。ラッキーな事が幾つも重なった。
義弟は独身の為、職場で倒れたのはラッキー。しかも兄を呼ぶのにパソコンが右手で打てた。
最初に変だと気付いたのが左手でキーが打てなかった事だった。瞬く間に左半分が重くなり
全く動かなくなり顔半分麻痺。

救急車が偶々搬入した場所がアルテプラーゼ血栓溶解療法を行っていた事に大感謝。
救急隊も初めて、運び込んだ病院だったとの事。お陰でICUに運び込まれた時、全く動かなか
った足や手の指が、静注開始直後から少しづつ動き始めた。

血栓を溶解させる位だから、何処かに出血が有ったら死の危険が伴う。
副作用を考えると療法を使うか家族は判断に迷う。しかし夫の判断は即決だった。
この判断の早さで、義弟の麻痺は最小限で済んだ。

私が病院に着いた時は、すでにアルテプラーゼが半分注入されていた。
本人も動かなかった指が少しでも動き、意識もハッキリしていた。
今日で3日経過した。出血は無く助かった!来週から一般病棟でリハビリが始まる。

本当にラッキーだった。リハビリで、ほぼ元の状態に戻りそうだ。
微妙で重大な判断が、今後の義弟の将来を大きく左右させる事になった。
自分の夫ながら、土壇場に強い夫を誇りに思う。
その強さは、急場を何回も乗り越えてきた経験の成せる技だと思う。

もし義弟が半身麻痺状態のままになったら私達家族との同居の可能性も有り、それを思うと
私にとってもアルテプラーゼの存在は非常に有りがたい存在だった。
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posted by CSNメンバー at 03:50 | Comment(0) | TrackBack(0)
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