週2、3日は20時帰宅。ガチャッと玄関のドアが開く音に、エッ?今日も?
と、私は思う。以前には考えられない程、早い夫の帰宅。
今週は3連チャンで早い。「え〜っ。早過ぎ〜。なんで、そんなに早いの?」
と発した私の言葉に、夫は「え〜っ。そんなに嬉しい?」と悪びれもせず返事を
返す。「げ〜っ。嬉しい筈ないじゃ〜ん。」と不服を申し立てる私。
何故私は、夫の早い帰宅が嫌なのだろうか?
別に早く帰って来たからといって私や息子が困る事は何も無い。
夫が家に居ようと居まいと変わる事は特に無い。なのに・・。
子育て真っ最中で大変な時期、夫の帰宅は夜中を過ぎ、下手すると徹夜の連続。
子育ては殆ど手伝って貰った記憶が無い。家事も勿論無い。家族で旅行した記憶
も1、2回。私と子供で出かけた記憶が多い。他の家族が羨ましく思えた。
そんな事から早く帰って来て欲しい時には帰って来ず、子供達が成人して手を必要
としない今、早く帰って来るという事への口惜しさが見え隠れする。
血気盛んな頃、夫は世の中の出来事を全て仕事に繋げて考えていた。
呆れる程の仕事人間だった。仕事と趣味が同じ。本人は幸せな事だろうが、私には、
そうは思えなかった。当然、意見の対立が起きた。
お互い、若気の至りで火花がバチバチ。
そっちがその気なら、私は私で。と、モクモクと子育て、遊び、そして時々仕事。
という具合に勝手気儘に家庭を切り盛りしていた。夫は仕事に邁進。そんな時期が
十年近く過ぎた頃、バブルが弾けた。夫の会社にも重大な影響を及ぼし、夫が精魂
傾けた会社は倒産寸前。でも持ち堪えた。そこには大変な忍耐と努力があった。
背中合わせだった夫と私は、会社建て直しの共通目的ができ、いつしかお互いを
尊重し合えるようになっていった。多大な損金と借金は発生したが会社の倒産の
危機を脱した。
いい経験をしたと思っている。しかし、二度と同じ経験をしたいとは思わない。
昨夜帰宅後パソコンを見ていた夫が「○○会社と○○会社が倒産した。」と素っ頓狂な声を発した。
二つの会社は、私達の住居近辺に有るソフト会社と電子部品会社だった。
電子部品会社は規模も大きく、二つの会社は共にバブル崩壊時にも平然としていた。
暫く無言。フ〜ッ。と夫の溜息・・これだ!!
私が夫の早い帰りを嫌がる理由は。
私は夫の溜息付く姿を見たく無い。自信の無い姿も見たくない。
いつも毅然としていて欲しい。しかし抑鬱状態にも見える。
私は土壇場には強い。傍からは、柳のように弱そうに見えても、折れそうで折れない。
神経質にゴチャゴチャ迷ったりもする。しかしイザとなると底力をちゃんと発揮する。
そこは親譲りでもあり、社会で培った力でもある。私という人間が社会でどれ程の力
を発揮するか・・自分で刻んできた足跡を振り返ってみると、ちゃんと足跡が残って
いる事に気がつく。仕事で鍛えられた負けじ魂は、真面目に悩んだ結果だと自負する。
「前回、会社倒産の危機は大変だったけど、今、バタバタと会社が倒産する時に在って、
自分の会社が生き残る事が出来れば、今回の為の前準備だったという事が言えるよね。」
と夫に聞いてみた。
「勿論、準備は万端。その為に社員教育と市場開拓には力を入れて来た。」と、返事が
返って来た。幾分、力が入った言葉に聞こえる。私は夫の力を信じる。
来る社会情勢がいつ上向くか?誰にも分からない。
しかし、持てる力を十分に発揮する準備は整えた。
必ずや過去の教訓を成功の礎にする。
「あら〜。今日も早いのね〜。」「えっ。こんな時もあら〜な〜。」と笑う夫と私。
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