2008年10月09日


405 <七色仮面の告白日記>

秋の旅路

父の快気祝いを兼ねて、
山形方面へ一泊旅行に行きました。

旅行の段取りで、
自分が過去の嫌な思いを感じたエピソードが絡んだけど、
そこは話し合いつつ共にクリアにして、
初めて家族での宿泊旅行を組みました。


両日ともあいにくの天気で、
これもまた一興かななんて思いながら、まずは蔵王山刈田岳へ。

幾多の山道を越える途中、霧かと思うような雲が立ちこめていて、
進めど前方が見えない中を、
まるで天上界へ昇るイメージを感じつつ30分。

急に雲が抜けて、
見えるは山頂こその紅葉の群生。

まさか紅葉が見られるとは思わず、
天然の紅、黄の見事さに圧倒され、
ただ「すご〜い、きれ〜い」の連発。

紅葉をはじめ、時折見せるすすきや緑は、
都会との空気や季節感なのか発色も初春の鮮明さと違い、
自然が帯る色彩にこれほどの力があるとは、気づかなかった。

今の年齢近くになるまで、
あまり山に関心はなかったけど、
箱根や軽井沢を経て改めて

「山は人を迎え入れ、人は山に抱かれる」

ような、山が持つ懐深さを感じた。


翌日は、家族の目当て「山寺・立石寺」へ。

小雨にも関わらず参拝客は多くいたが、
さすがに山頂の「奥の院」までの
1075の石段を上る人は少なかった。

父の体調を鑑みて、
上ることで気持ちの回復がはかれるようだったので、いざ山頂へ。

小雨に濡れた切り通しの岩肌や、
樹齢何百年の木立を抜けつつ、
上る度に外下に薄く煙る山間の街や数々の御堂は、
刈田岳とは違った趣があり、
蝉の声よりシトシト降る雨が岩に染み入るような、
そんな気分だった。

途中休みながらも、奥の院へたどり着いた。

天候で絶景まではいかないまでも、
なんだかぼんやり見渡せる墨色の景色は、
また不思議な空気だった。


今回の旅行は今までと違い、
段取りから旅程に至るまで、たくさんの気づきがあった。

そして山寺たる処で、
得意の感化されやすさか、両親ゆずりの性分で句を詠んだ。


芭蕉追ひ
父母のみちひき
われの秋



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