2008年08月29日


ひろみん <臨床検査技師・ひろみんのラブ&ピース>

伝染性単核球症

ゴソゴソ、カサカサ。
ホッチキスが見つからない。
う〜ん。どこに入れたか・・・?
必要な時に必要な物が見つからない。

一見きれいに整理整頓されているように見えても実はそうでは無い。
夫は「おまえは、物を片付けているようで物を移動しているだけだ。」
と言う。夫本人は散らかす一方で気が付くと書類の山と無造作に物が
置かれているというのに・・・。

勝手に夫の物を片付けると、「あれはどこ?これはどこ?」
と聞いてくる。聞いてくるのは本人が必要としている時に限り、時間
の経過と共に私は、すっかり何処に片付けたか覚えていない。
そうするとチョッとしたトラブルが起こる。
イライラする夫と私で物探しが始まり、私は内心ヒヤヒヤ・・・。
そんな時はもう二度と夫の物は片付けないぞ。と思うのだが、ほうって
おけない。

今日は朝からホッチキスが見つからない。
書類を留めたいのに留められず、諦めていたら娘の幼い頃の写真が出てきた。
幼稚園の頃に撮った写真で、顔は発疹で真っ赤に腫れている。
伝染性単核球症にかかり心配したのを思い出した。

当時、血液検査室で仕事をしていたので、自分で娘の血液像を見る事になった。
普通の場合、末血と呼んでいる静脈血の場合には顕微鏡の視野には成熟した
白血球しか出て来ないのだが、その時は未熟な白血球がゴロゴロで、まるで
骨髄像だ。悪性リンパ腫との鑑別に真っさおに、うろたえたのを覚えている。

伝染性単核球症はEBウイルスが原因で発症するが大抵の大人は知らない間に感染
して抗体を持っている。しかし抗体を持たないで大人になり感染したら入院の
可能性は大で、肝機能の数値がグッと高くなる。発疹、発熱、鼠頚リンパ浮腫
、脾臓浮腫、扁桃腺肥大、異型リンパ球出現が主訴で大騒ぎする事になる。

最近は欧米と同様、青年期に多く、別名キッス病と呼ばれている。キッスにより
感染する。

幼児の場合は幼稚園で感染したり、母親からの垂直感染だったりする。
大抵の場合はちょっとした発熱やリンパ腺の腫れで見過ごされる場合が多く、予
後良好な為、対処療法で症状は治まる。例外的には慢性に移行して肝臓を悪くす
る場合もあるので、親としては注意が必要だ。

話は変わるが、ウイルスには抗生物質は効かない。抗生物質は細菌による感染に
のみ効く薬だ。
私の友人は、風邪にかかり高熱で大学病院を受診したのに抗生物質が出ない。と
怒っていたが、ウイルスによる風邪の症状には抗生物質は出しても効果が無いの
で出さないのが正解だ。

医師の中には、あまりにも受診者が抗生物質を欲しがるので、つい出してしまう
という現状があるらしい。

細菌とウイルスはどう違うか分からない人の為に一言、説明です。

細菌は元々は植物に属する単細胞生物で細胞膜を持つ。ウイルスは細胞体がなく、
DNAを持つが細胞膜を持たない小さな微粒子。よってウイルスは遺伝子組み換え
に使われる事もあり、エイズウイルスやサーズウイルスが人工の産物ではないか
と疑惑を持たれる1つの理由がここにある。

ウイルスや細菌を外的と判断して攻撃する細胞は胸腺にあり、約30〜40gの
重さで心臓の近くに位置する。胸腺は青年期を境に段々委縮し50才過ぎには半分
程度になり老化と共に免疫力が低下する原因になる。

免疫不良や免疫不全になると雑菌だらけの環境で生きていく不安が残されているが、
現代医学は素晴らしく、理化学研究所は平成19年に人工リンパ節を開発し、免疫
能力の低下したマウス、あるいは正常マウスに移植した。その結果、移植を受けた
マウスの人工リンパ節が強い免疫反応を惹起する事を発見した。

それは、取りも直さず重症感染症、癌、免疫不全など様々な難病への臨床応用の可
能性を示唆する。

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posted by CSNメンバー at 17:24 | Comment(0) | TrackBack(0)
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