進行中の我がCSN事務局ですが、やっと猛暑が影を潜め
涼しい日が続くようになって、何とか特集記事の原稿を
書き上げつつあるかなりんです。
1千字くらいのスペースしかないので、たいしたことは
書けないのですが、それでも何冊かの参考文献を読みました。
そのなかでも面白かったのは、エゴグラムの生みの親、
ジョン・M・デュセイの著書「エゴグラム」(新里里春訳、創元社)です。
もう絶版になっているみたいなのですが、アマゾンの中古本を
手にいれました。
その本の序論に、デュセイがある集まりに招かれて、
ゲシュタルト療法のパールズと初めて会ったときのことが
書かれています。考えることを得意とするデュセイに対して
パールズはまず直面して後から考えるタイプ。
彼は「親の影響をことごとく値引きし」、「責任(転嫁)の旅に
我々を引きずり込むくだらないものだ」と主張してデュセイを
挑発します。「親の自我状態は大切なもので、多くの親は子どもに
肯定的な価値観を伝えるものである」と意見を差し挟んだ
デュセイに対して、待ってました!とばかりにパールズは
「『親の自我状態』はストレスがあるたびに急に飛び出すものだ
と勢い込んで言った」のです。
「と同時に演台の上に飛び乗って、ビーズのネックレスを
後ろにやり、オレンジ色のジャンプスーツの大きなジッパーを
すばやくおろし、何百人もの観客に目配せして、『ジャック、
俺はペニスを出すぞ!』と叫んだ」のです。デュセイが「驚いて
反射的に『止めろ、してはいけません』と言うと、パールズは
目を輝かせて、勝ち誇ったように『ほうれみろ、お前の<親の
自我状態>を引き出した』と言った」というエピソードが綴られて
います。天下のパールズも当時は結構ばかばかしいことを
やってたんですね。(でもかなりんとは気が合いそう♪)
もっともデュセイは、「パールズは私が今まで信じてきたことを、
彼の豊かな『自由な子ども』の自我状態でもってぐらつかせた。
そして私が行動派の治療者になる動機をせき立てたのである」
と書いていますから、デュセイにとっては人生を変える出会いと
なったことが偲ばれます。
デュセイは、「エゴグラムは心理的な指紋のようなもの」であり、
「人は皆それぞれ特有の、観察し、測定可能なユニークな
プロフィールを持っている」と言っています。彼はバーンの打ち
立てた自我状態理論をもとに、そのエネルギー量に着目して
それをグラフ化し、不足したり過剰になったりしている各自我状態
のバランスをとることで、「パーソナリティーの建設的な成長を
促進する道具として役立てることができる」と主張します。
デュセイの提唱したエゴグラムは、自分で、或いは親しい他人が
勘(感じ)でつくるものでした。そのためにグループがよく活用されて
います。有名な「メアリーのオーガズム」の事例は、エゴグラムが
構成された最初のケースということですが、これにもグループが
非常に貢献しています。「どうしてもオーガズムに達しない」という
メアリーの悩みをグループで取り上げ、その場で彼女のエゴグラム
を作成し、「養育的親」が足りないことに気づいた本人が、メンバーの
勧めがきっかけで料理学校に通うことになり、様々な抵抗をグループ
のサポートで凌ぎ、ついにオーガズムを経験するに至るというものです。
彼女のエゴグラムはその後劇的に変化していました。
デュセイは実際にとったエゴグラムに、それぞれ「がんこな警官」
とか「やさしいサリー」とか「ドンファン」とか、ユニークな名称をつけて
います。このあたりはいかにも、ベストセラーになった「人生ゲーム
入門」という著書のなかで、一つ一つのゲームに「キックミー」とか
「さあとっちめてやるぞこの野郎」とか、面白い名前をつけている
師匠のバーン譲りという感じがしますね。
デュセイはこの本の第6章で、「パーソナリティーの成長を促す
技法の実際」と題し、低い自我状態を高める方法を述べていますが、
「自由な子ども」のところで、周りの人がどんなおへそをしているか
想像する「へそ調べ」とか、同じく「ヌード分析」とかを挙げているのには
笑っちゃいましたね。かなりんに最も欠けている「順応した子ども」に
関しては、「対立した意見を仲裁する」とか、「レストランや映画を
相手の選択に任せてみる」とかが挙げてあります。しかしそれは
「過度に開発してはいけない。過度に発達した『順応した子ども』は、
非生産的なラケットに捕えられる」という注意書きがついています。
新里先生は、「AC(順応した子ども)は不用意に高めてはいけない」
とおっしゃっておられます。レストランで他人の選んだものなんか
食べたくないし、ましてや自分が観たくもない映画に金と時間をかける
なんて考えられないから、デュセイ先生には悪いけど、かなりんの
ACはこのまま放っとこうっと♪
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