2008年06月20日


ひろみん <臨床検査技師・ひろみんのラブ&ピース>

苦手な人

ある日、私にしては、とても可愛らしいサンダルを買った。
布製でクリーム色。履きやすく軽い。検査室で履く事にした。
同僚や上司も口ぐちに「可愛いサンダルだね。」と言ってくれる言葉に、つい有
頂天になりながらも、暫く履いていた。

私の直属の上司は嗅覚が優れていて、検査室の色んな匂いを嗅ぎわける敏感な
女性技師だった。ブツブツ独り言が多く気難しい人でもあったので周りは気を
使っている様子だった。

血液検査室で顕微鏡を二人で眺めていると「もうダメ!我慢できない。臭い!」
と連呼すること度々。最初は気を使いながら「何がそんなに臭いんですか?」
と私は上司に聞いていた。
しかし、そのうち「あれが臭い。これが臭い」という上司の言葉に慣れてしまい、
「ふーん。どうして、そんなに鼻がいいんですかね〜?」と受け流していた。

いつものように顕微鏡を見ていた私に上司が「朝から臭い人がいるのよね〜。」
というので「変ですね〜。毎日、皆お風呂に入ると思いますから朝から臭いなん
て、そんなの気のせいじゃないですか〜?」というと上司の返事は無かった。

それから数日して、朝ロッカーを開けたらプ〜ンと汗臭いニオイがした。
明らかにサンダルがニオイを放っていた。えっ?もしかすると〜!

まさか自分が迷惑をかけていたとは全く気がつかなかった。
嗅覚が悪いのか?気を使わな過ぎなのか?鈍感なのか?
そう言えばサンダルを買ってから一度も洗っていなかった。

同僚にサンダルを洗っているかどうか聞いみると口ぐちに材質がビニールだから
洗わなくても平気だと言う返事が返ってきた。ナルホド〜。

笑いながら「もしかして朝から臭い人って、私の事ですか?」と聞いてみた。
すると上司はクスクスと笑い始めた。「そうなのよ!あなたって自分の事だって全
然、気が付かないんだから。参ったわよ。臭くて・・。やっと気がついてくれて助
かった。」

「え〜っ。早く言って貰えたら良かったのに、すみませ〜ん。」恥ずかしいのを通
り越して、申し訳ない思いだった。
すると上司は「ううん。あなたが、いつ気が付くのか楽しみにしていたのよ。そして
気がついた時、どんな顔をするのか想像して、見ていて面白かった。」

そんな事があってからは、その上司が大好きになった。
最初はどちらかと言うと苦手な存在だった。しかし自分の人生を振り返ってみると、
思い出す人は皆、第一印象が苦手だった人ばかりだ。

そして今の職場で一緒に仕事をやっている技師の性格に慣れるまでに1年半もかか
った。来年の3月に定年退職すると聞き、今から寂しい思いをしている。

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posted by CSNメンバー at 18:00 | Comment(0) | TrackBack(0)
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